アーサー・ランサムが「ツバメ号とアマゾン号」を発表したのは1930年。
イングランド北部のウィンダミア湖が舞台だそうです。
1884年生まれのランサムは早くから文筆活動をはじめ、
従軍記者となったり、ロシア革命や中国革命を取材したりと、
ジャーナリストとしても活躍したようです。
「ツバメ号とアマゾン号」に続いて11冊の児童文学を成しています。
これら12冊の魅力はなんといっても、
実在するかのような子供たちの姿でしょう。
子供たちの生き生きとした様子、
個々の個性の豊かさ、
何と言っても、さりげなく描かれた細やかな心理。
この子供たちを輝かせているのは、作者の指向性にあるでしょう。
訳者の神宮輝夫さんは“訳者のことば”の中でこう述べています。
“12冊の物語には、どこにも解放された休暇のよろこびがあふれています。
このよろこびはレクリエーションというようなものではなく、
人間がもっとも人間らしくなったときに感じる深いよろこびだとわたしは
思います。つまり、ランサムは、どんなに時代が変わっても、人間が
人間であるかぎり、持ち続けるよろこびをとらえたのだと思います。
そのよろこびをさらにこまかく分ければ、新鮮な興味、行動への意欲、
自然の恵みの享受など、いろいろになるでしょう。”
人間らしいよろこびに溢れるお話を12冊も堪能できるのです。
このような作品を書いたランサムですから、
同じ神宮さんの訳の自伝も面白いに違いありません。
リストに加えておくことにします。
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