2012年5月30日水曜日
2012年5月28日月曜日
初夏を思わせる日
今日の奈良はまことに暑く、照り返しといい、
湿度のある重苦しさといい、夏の入口のような一日でした。
これから梅雨を経てますます暑くなってくるのですね。
今年はどんな夏になるだろう、楽しみよりもどのように凌ぐか、
それが気になるのは歳のせい?
土曜日には日経新聞夕刊の一面に、
堀江さんの新刊の広告が著者の写真入りで打たれていて、
ほんとに驚きました。
新刊がでることを把握していなかったこともあるけれど、
著者の人物写真なんて、人気作家ですね。参りました。
もうひとつ日経新聞を読んでいて参ったのは、
日曜日の書評欄です。
近く、亡くなって久しい中村真一郎氏の青春日記が刊行されるそうです。
16歳から19歳までに綴った内容だそうですが、
その当時に読んでいた本というのが、すごいのです。
世界文学の古典から、現代文学、日本の小説も幅広く、
もちろん古典も、中国の古典、江戸文学・・・そして
早くから小説家を目指していた中村氏はその頃すでに、
ジョイス、プルースト、ウルフにまで感心を持っていたそうです。
またこれらの本を原書でも読んでいたようで・・・
驚異というか、天才というか、とても考えられない読書内容と量です。
中村氏のエッセイを愛読していた者としては、
この青春日記もはずすことはできませんね。
2012年5月27日日曜日
「振り子で言葉を探るように」
「振り子で言葉を探るように」 堀江敏幸著 毎日新聞社
この書評集について簡単にお話するのはとても無理です。
読んだことがある本や作家についてはもちろん、
以前から関心のある本や作家についてとなると、
読み手側にも言いたいことがむくむく湧いてきて、
じっとしていられなくなるのです。
庄野潤三、日野啓三、須賀敦子、岩坂恵子、池澤夏樹、
小川洋子、水村美苗、大竹昭子、小野正嗣、朝吹真理子、
神西清、小沼丹、山田稔、クロード・シモン、M・ビュトール、
ロジェ・グルニエ、ジャック・レダ、ル・クレジオ、フロランス・ドゥレ、
ジョルジュ・シムノン、S・ミルハウザー、W・G・ゼーバルト、
ペーター・ハントケ、ズヴェーヴォ、ウリツカヤ、モラレス、
清岡卓行、多田智満子、チェーホフ、ブルガーゴフ、ペソア、
ヴァレリー・ラルボー、野崎歓、出口裕弘、湯川豊、菅野昭正、
A・タブッキ、岡田温司、林洋子、ブラッサイ、白洲正子、
小沼純一、辻佐保子、A・A・ミルン、三宅徳嘉、港千尋、
冨原眞弓、陣野俊史、鷲田清一、清水徹・・・
書き手を取り上げてもこのとおり、
この人々をめぐる個々の逸話から、その人生、
書かれた書物について、頷くこと、考えさせられること、
見出されること、この本からささやき声が聞こえます。
とはいえ、表面的にしか理解できていない不安を持ちつつ、
落ち着きもなく、感覚だけの読書しかしない人間にとって、
堀江さんは言葉の泉のような役目を果たしてくれます。
それはタイトルにもあるように、
「振り子」によって水のありかを探りあてる人にだけ描ける、
水脈の地図のようなものです。
緩やかなくくりでまとめられた数多くの本たちは、
堀江さんの言葉によって新たに生きる意味を持つのでした。
あいかわらず詩集は苦手だけれど、
大切な言葉たちが招く世界は感じられるので、
それだけでも十分として。
堀江さんの言わんとするのは、本から滲み出る
書き手の愛情や世界観だけにとどまらず、
新たな読み方や、解釈への広いアプローチが
可能だということだと考えられるのですが、
その上に堀江さんの独自の表現手法に共感できる人には、
たまらない一冊です。
これからまたページをめくる楽しみが増えていくのです。
この本は、
この先、何回も取り出して、読み返す一冊となるでしょう。
2012年5月23日水曜日
フェリシア
フェリシアが満開になりました。
オールドローズの一種なのでとても香しい。
さて、せっせとジョン・ル・カレ「スマイリーと仲間たち」を読みつづけ、
職場では仕事が増やされ、さらに肉体労働も増やされて、
身体はオーバーワークです。
今日も頭が痛くてたまらず、身体も重く、何をする気にもならない、
困った状況。
仕事もスローペースでやりたいところなのですが。
なんせかせ“針のむしろ”だもので。
気をつけないと、来週には絶対にはずせない飲み会が二つも
入っています。
要領よくやれれば、一番よいですね。
仕事もほどほどにこなして、プライベートもゆったりできる・・・
今の社会ではそういうのは“夢”というのでした。
2012年5月20日日曜日
薔薇が咲きました
しばらく前から薔薇を世話するようになって、
母は咲くのをとても楽しみにしていました。
いく種類かあるのですが、
このフェリシアという薔薇の咲き加減がとてもきれいです。
読書はようやく堀江敏幸さんの「振り子」を読了しました。
大変読みごたえがあったので、
のちにレポートしたいと思います。
そして、今は完全にル・カレ病です。
「スマイリーと仲間たち」を読み終えるまで続くでしょう。
他の作品も読みたいですが、復刊はあるかな?
なんせかせ前に読んだのは20数年以上前のこと。
すっかり処分してしまっているのです。後悔。
一番好きなのは「リトル・ドラマー・ガール」ですが、
それさえも、手元にはありません。
父にペーパーバックをもらったのですが、
英語じゃどうにもなりません。悲しかりけり。
2012年5月16日水曜日
爽やかな5月のある一日
雨降りの昨日から一転、今日はとても爽やかないいお天気でしたね。
お洗濯物もよく乾いて、風もそよそよ、とても気持ちが良かったです。
先日読み終えた「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」に続いて、
「スクール・ボーイ閣下」上巻を読了。今完全にはまっています。
ル・カレの文体に懐かしさも覚えながら、楽しんでいます。
堀江さんの「振り子」も残りあとわずかとなりました。
読み終えてしまうのが惜しいくらい、充実した内容です。
先日の日経新聞掲載のエッセイ「手の言葉」も読んだりして、
感覚で感じることから頭で考えることへの移行ができると、
もちろんそれには言葉の存在が鍵なのですが、
手作りで文章を立ち上げていくことが可能なように思われました。
本を手元においていて、やりたいことはたくさんあるのですが、
結局読み散らすばかりで、進歩がありません。
読み、味わうだけでも幸せでしょうか。
2012年5月15日火曜日
いろいろあって・・・
会社での人間関係は誰しもが突き当たる悩みだと思うのですが、
ほんとうに考えものですね。
私のところでは、一人の上司がメンバーたちを悩ませています。
今日はあるキャリアのある男性が落ち込まされて、黙りこくってしまいました。
慰めようにも、年長の方だし、難しい。
でも、その人の心情を思うと、心苦しいのでした。
半年ほど前までは、こんなに困ることはなかったのですが、
所属する部署の先行きが不安になるほど暗雲が立ち込めています。
人の持つプライドやモチベーションを維持できるよう、
あるいはアップできるように、お互い努めたいものです。
2012年5月14日月曜日
「北の古文書」
「北の古文書」 マルグリット・ユルスナール著 小倉孝誠訳 白水社
この「北の古文書」はユルスナールの“世界の迷路”と題する
家系図を辿った回想録のような年代記。
2巻目は父、ミシェル・ルネ・クレーヌヴェルク・ド・クレイヤンクールの先祖側に
光を当てています。
第一部は依然にも取り上げたように太古からルーベンスの時代までを描いており、
それは途方もない想像力が必要となります。
もちろん歴史や地理の知識が土台となるので、もうお手上げです。
何もわからないので、ちんぷんかんぷん、お芝居でも観ているような感じです。
第二部に入って祖父ミシェル・シャルルの時代になると、
手記が残されていることや、資料の質、量の変化からか、
人物像が明確になり、出来事も立体的につかめるようになってきます。
当然のことながら、読みやすく、面白く読めるのでした。
とはいえ、その当時を比較できるのもバルザックの作品の登場人物だったりするので、
まだまだ想像の域を超えません。
第二部の後半にユルスナールの父ミシェルの姿が現れてきます。
真面目そうな祖父と比較して、ミシェルは本能的に生きているような感じです。
貴族の末裔らしく、実質的なことには見向きもしない態度は、
これまたプルーストの小説に出てきそうな気配です。
これくらいの時代になると写真もありますから、少しずつわかりやすくなり、
滑らかに読み進めることができますが、そのユニークさには感心しきりです。
もうユルスナールのノマッド精神が父から受け継いでいるのだとすぐにわかります。
読みが浅いので、なぜだか解明できませんが、
母親の祖先を描いた1巻目と父親を描いた2巻目はどこか違いがある。
父親とは長く一緒に過ごしたから、と言えば、ユルスナールにそれは軽率だと
指摘されそうですが、何か力がこもっているような気がするのでした。
もっと根底に違いがあって、分析が足りないだけでしょうが。
残りは第3巻。まだ未発売。堀江敏幸さんの訳。
どんな内容なのでしょう。
この3冊を読みこなすのはかなりの時間と努力を必要とするでしょう。
3冊揃ったところで、また落ち着いて本を広げ、読み返すことができるといいのですが。
2012年5月9日水曜日
庭の花
お休みの水曜日、ぐったり疲れてぐーぐー寝ておりました。
夕食はパスタを作りましたよ。結構味付けしっかりと美味しくできました。
ポールのイチヂクのパンとブリー・ド・モーやゴルゴンゾーラもあったので、
すっかり満足いたしました。
昨日はジョン・ル・カレ「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」を読了。
続いて「スクール・ボーイ閣下」を読みたいと思います。
文庫本は持ち歩きしやすいので、駅で電車待ちで読み、車中で読み、
バス待ちに読み、と、どんどん読めるのがいいですね。
あ、その前に「オオバン・クラブ物語」が途中だったのでした。
さて、春の兆しが感じられるようになってからアップしている花の写真たち。
梅の花は紅も白も大阪市内で撮ったものですが、
それ以外はすべて家の庭の花たちです。
クリスマス・ローズ、花モモ、チューリップ、勿忘草、アネモネ等。
他の種類や他の色の花もあるのですが、
やはり好みの花、色のものをチョイスしてしまいます。
これらの庭の手入れはすべて父と母に寄るものです。
自分は眺めるだけなのでした。
春の間はまだまだ楽しめそうです。
2012年5月7日月曜日
フランス大統領にオランド氏
フランスの大統領選挙において、
現職サルコジ氏に対し社会党オランド氏が勝利しましたね。
サルコジ氏の5年間及び未来に“Non!”という結果が出たわけです。
その国の人間ではないので、はっきりと意見を述べることは
到底できないので、オランド氏の今後に期待を寄せるにとどめて
おくことにします。
現代の社会の複雑さは、これまでの政治手腕だけでは解決しえないことが
多いことを示唆しています。
常に未来をいくものは手探りです。
イタリアでは政治家出身ではない首相の元で
新しい政治運営がなされているらしく、
これまでにない進歩がみられるそうです。
これは勉強になりますね。
現状では八方ふさがりの国が多いのですから。
他国を参考にしつつ、日本もあらゆる面で進歩があるように、
願うばかりです。
自分もですね。
2012年5月6日日曜日
GWもおしまい
たっぷりあったはずのお休みも今日でおしまい。
明日から再び戦いが始まる。
困った人さえいなければ、とっても居心地のいいところなのだけどな。
これまで、十社近く渡り歩いてきて、
苦手な人、嫌いな人、困った人と、うまく折り合いのつかない人には
大勢会ってきたけれど、
今回が一番難儀です。
ああ、今後どのように展開していくのだろう。
不安といら立ちと、自分への不満が心の底のほうにどよ~んと
沈んでいます。
そんな自分にもいくつか楽しいことがある。
それは食べること、寝ること、本を読むこと。
GW中は堀江敏幸さんの「振り子」とユルスナールの「北の古文書」を
少しずつ読み、アーサー・ランサムの「オオバン・クラブ物語」を
ちょっとだけ読み、ジョン・ル・カレの「ティンカー」をぼちぼち
読み進んでいます。
ル・カレのスマイリー3部作を読み終えたころに、
きっとツタヤに「裏切りのサーカス」が並ぶでしょう。
著者自身が総監修を務めているからして、映像の方も楽しみです。
今朝がたは雨模様でしたが、午後になって陽が差してきました。
今日の日経新聞には堀江敏幸さんのエッセイも掲載されていたし、
いいこともある、と思うことにしましょう。
2012年5月5日土曜日
「魔法使いクラブ」
「魔法使いクラブ」 青山七恵著 幻冬舎文庫
著者の青山さんは1983年生まれと大変若い作家です。
以前に「ひとり日和」を読んで、物語作家として注目しています。
そんなに本を買えない貧乏人なので、文庫になった作品を
読んでいくことにしています。
さて、この「魔法使いクラブ」は結仁(ゆに)という女の子のお話です。
第一章では結仁の小学校4年生時代がリアルタイムで描かれています。
思い返すに、結仁と過去の自分とは全くちがうタイプなのですが、
不思議と結仁の心理にすうっと入っていき、
結仁の目で周りを見ている自分がいます。
ここがまず書き手の腕の技だと思われます。
気持ちの一瞬の揺れをきらりと鮮やかに切り取っているのでした。
まずこの4年生の時代をしっかり書き込むことで、
友達関係、学校での様子、あこがれの男の子の存在、
家族についてベースが築かれています。
さて、この先どう成長していくのでしょう。
第二章では中学2年生の結仁の姿が見えます。
小4のときの延長線上にあることには違いなく、
大きな変化はないのに、でもしっかり中学生の冷めた感覚が感じられます。
ここで友達関係に大きな変化があるのでした。
それにも違和感もなく受け入れている読者の自分がいました。
第三章では劇的な変化を遂げた高校生の結仁がいます。
どうしてこんなことになっているのか、驚かされるのですが、
少しずつ説明がされていきます。
そしてその結果、新たな転換を迎えるのです。
と、内容をかいつまんで書いてみましたが、あまり必要ありません。
筋そのものも読ませるのですが、
青山さんの作品は作品全体の仕上がりのバランスがとてもよく、
もちろん表現者としての技も巧みです。
過去に女の子だった方、一度読んでみてください。
ある結仁という女の子の少女時代を辿ることで、
新しい価値観を見出すことができるでしょう。
2012年5月4日金曜日
2012年5月3日木曜日
「丘」
「丘」 ジャン・ジオノ著 山本省訳 岩波文庫
南仏の山間部の集落を舞台にした物語。
この地を愛したジオノだけに、豊かな自然が描き出されています。
豊かなだけではない、自然の持つ力、大地から湧き出すエネルギーを
小さな人間たちがいかに受け止め、対峙していくのか。
その集落にはこの大地とともに生活をしてきた人々ばかり12人住んでいますが、
中に長老ジャネが含まれています。
このジャネは自然の持つ力を聞き取る力を持っているのです。
人物たちの描写も個性的で力強く描かれ、
その中でジャネが詩のような言葉を吐くところは霊のようです。
事件が次々と起こる中で、登場人物たちはそれぞれに語り、走るのですが、
そのあたりの人物の書き分け、役目の表現が少しわかりにくい。
でも、この小説の核心はそういうことはあまり関係がありません。
フランスにもこのような野性的な自然と向き合った小説があったのだと、
初めて知りました。
ジオノの他の作品も読んでみたいです。
登録:
投稿 (Atom)