2012年5月3日木曜日
「丘」
「丘」 ジャン・ジオノ著 山本省訳 岩波文庫
南仏の山間部の集落を舞台にした物語。
この地を愛したジオノだけに、豊かな自然が描き出されています。
豊かなだけではない、自然の持つ力、大地から湧き出すエネルギーを
小さな人間たちがいかに受け止め、対峙していくのか。
その集落にはこの大地とともに生活をしてきた人々ばかり12人住んでいますが、
中に長老ジャネが含まれています。
このジャネは自然の持つ力を聞き取る力を持っているのです。
人物たちの描写も個性的で力強く描かれ、
その中でジャネが詩のような言葉を吐くところは霊のようです。
事件が次々と起こる中で、登場人物たちはそれぞれに語り、走るのですが、
そのあたりの人物の書き分け、役目の表現が少しわかりにくい。
でも、この小説の核心はそういうことはあまり関係がありません。
フランスにもこのような野性的な自然と向き合った小説があったのだと、
初めて知りました。
ジオノの他の作品も読んでみたいです。
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