2012年9月12日水曜日
「カラーひよことコーヒー豆」
「カラーひよことコーヒー豆」 小川洋子著 小学館文庫
しばらく前に小川洋子さんの「人質の朗読会」が出て評判となりましたが、
そのときには“文庫になるまで待とう”と固く誓ったのであります。
ところが、店頭に「最果てアーケード」が並び、
続いて「とにかく散歩いたしましょう」が続くと、
まるで小川さんに“私は次々と書いていますよ、読んでくださいね”と
言われているような気になってきました。
そこへ3年前に単行本で刊行された本が文庫化されて、
小川さん欠乏症になっていた私は大喜びであります。
速攻で読んでしまいました。
そんなに慌てて読むにはもったいなく、
いつもながら小川さんの文章には優しいお人柄がそのまま現れています。
これほどの愛情って感じたことはあるかしらん、
と不思議に感じてしまう自分が問題なのでしょうか。
そしてもう一点は、小川さんが死者のことを常に考えておられるということが、
死者とはあまり接点の無いつもりの自分には不思議です。
小川さんは本文にもあるように背後になにか背負っておられるのでしょう。
きっと死者というか、あの世の人々と心理交流ができるのです。
それでいて、おかしなくらい普通っぽい感覚もお持ちなので、
うーん、霊も取りつく人を選んでいるのかな、と思ったりします。
いやいや、そんなことを言っては失礼でしょう。
小川さんはご自分の世界観をしっかりお持ちですものね。
この本を読んでますます小川さんの作品が読みたくなってきました。
最新作を買ってしまうのも時間の問題かもしれません。
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