2013年5月22日水曜日
「北緯14度」
「北緯14度」 絲山秋子著 講談社文庫
絲山さんのダイアリーを読んでいた時、
セネガルに仕事で長期滞在されるとあり、
どうしてセネガルなのかな?と不思議に思っていました。
単行本が出たことも知らずにいて、
そのうち絲山さんのダイアリーもチェックすることがなくなってしまいました。
本の方も「妻の超然」まではほぼ読んでいたのですが、
その「妻の超然」の内容に納得がいかず、
それ以来絲山さんの本にはご無沙汰していました。
本屋さんで偶然文庫化された「北緯14度」を見つけて、
久しぶりにあの手ごたえのしっかりとした絲山さんを読んでみようと
思ったのです。
行き先がセネガルであることの謎も解けるでしょうと。
謎は冒頭で簡単に解け、
いきなりぐいぐいと引っ張られて、
セネガルまで飛び立ちました。
色々な人々との交流が中心となって、
セネガルでの2か月はあっという間に過ぎていきます。
短い間に地元の必要な言葉を覚え、
気持が通じ合う人とは、
どんどんと仲良くなっていきます。
それは絲山さんの資質が、
セネガル人の資質とうまく結びついたからではないかと思います。
これまで書かれた小説でも十分わかるのですが、
このノンフィクションにより絲山さんという人が、
どれだけ信用できる人間であるか、痛感させられます。
正直に生きる、誠実に生きる、そのことの基本が書かれているからです。
絲山さんは私と同世代にあたり、
また、絲山さんが躁鬱病という病気を抱えておられることなど、
同じ女性であることなど、
気になるポイントがいくつかあるのですが、
この本を読んで、小説こそ好みで読んでもいいでしょうが、
今後も気をつけておきたい作家であることは間違いなさそうです。
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