2010年1月27日、「ライ麦畑でつかまえて」で知られる
J.D.サリンジャーが亡くなりました。
サリンジャーとの出会いは「フラニーとゾーイー」でした。
何を読んでいいのかわからなくて、
手当たりしだいに選んでいた高校生の頃のことです。
大人の世界をまだ知らなかったものですから、
悩むフラニーさえ、大人びて見えました。
フラニーの苦しさを理解する兄のゾーイーの存在が、
力強く感じられたものです。
今になっても、色褪せない光景。
フラニーもゾーイーも必ず次の地点に脱すると感じられるところが、
希望に満ちていて、好きでした。
その点「ライ麦畑」のホールデンは、
大人になるのを拒否しているように感じられて、
一度読んだきりになりました。
しばらくの間、フラニー達グラース家にまつわる小説を追いかけて読み、
2,3年は他の作家の本をほとんど読みませんでした。
ちょっと中毒みたいになっていたのでしょう。
そのくせ、読み砕くことができなくて、
持て余していたところもあります。
持て余すという意味では、
サリンジャー自身、登場人物たちをどう扱うべきか
悩んでいたのかもしれません。
サリンジャーはきっと答えなど持っていなかったのだと、
思っています。
答えが無く、隠遁してしまったということも、
不思議ではないような気がします。
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