「須賀敦子を読む」 湯川豊著 新潮文庫
「考える人」新潮社に連載していた時と、単行本になった時と、
読むのはこれで3回目となりました。
「考える人」に連載中は、須賀さんの知人でもあった著者による
新しい話が聞けるのではないかとの期待が大きくありました。
そのためか、内容は須賀さんの読者にとっては当然のことと思われて、
少々物足りなく感じたものでした。
単行本で再読したときも、同じように感じたのです。
須賀さんが亡くなって十年以上が経ち、
須賀さんの本を何度も読み返したり、
須賀さんの本に親しむ人のブログを読んだりするうちに、
実際にテキストを深く読み込むことの難しさを感じるようになりました。
この文庫を読むことで、さらにその思いが強くなりました。
今の時点で須賀さんの著書の心情を読み取り、平易に読みほどいているのは、
この本以外に思い当りません。
それもテキストから逸脱することなく、全体像をバランスよく把握されています。
須賀さんの著書は「ミラノ霧の風景」が一冊目でしたが、
なかなかその著者の像が見えず、
どのように受け止めてよいかわからなかったことを思い出します。
そして「コルシア書店の仲間たち」を続いて読むことで、
須賀さんの足跡を追うことができるようになったのです。
一冊、一冊出版されるごとに須賀さんの著書に親しみ、
その生き方を辿るようになりました。
湯川さんの著書ではこのあたりの読者の在り方にも目を配りながら、
そのテキスト群を読み解いておられるように感じます。
それでもまだ、私自身は須賀さんの謎を抱えたままでいます。
何度読み返しても奥深く底にたどり着くことがありません。
須賀さんのことを知ることで答えが出るわけではないでしょう。
それに須賀さんのすべてを知ることは決してできません。
これからも手探りで読み続けるしか方法はないのでした。
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