2010年6月11日金曜日

「明日は舞踏会」

「明日は舞踏会」 鹿島茂著 中公文庫

なんとなく読みやすそうだと思って鞄に入れてありました。
鹿島先生の話題が続くのは偶然のことであります。

ラスティニャックにあまり肩入れしなかったこともあって、
“19世紀のフランス小説の主人公たちの夢と日常を再現した”
同じく鹿島先生の「馬車を買いたい!」は未読でしたが、
この本は「馬車を買いたい!」のレディース・ヴァージョン
なのでありました。

19世紀のフランスの貴族社会に生きる女性たちの有様が、
引用もたっぷり、面白く、生々しく書かれています。
社会構造や、ファッションスタイルなどは現代とは違うとはいえ、
人間の本性は変わりはないのだと、少々悲しくなってしまいます。

「ボヴァリー夫人」を繰り返し読んだ後に、
この本を手にとって正解だと思いました。
当時の女性の意識がよくわかります。
そして“ボヴァリー夫人”への理解が進んだように思えます。
かつて“ボヴァリー夫人”はとても身近な存在だったのです。
そこから脱出すべくこれまでトコトコ歩いてきたのでした。

この「明日は舞踏会」は憧れの舞踏会の舞台裏としてより、
社会における女性の位置を計ってみせてくれた本でした。
(ちなみに舞踏会に憧れたことはありません)

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