2010年12月1日水曜日

古賀春江 11月のカレンダー

今日から12月。
カレンダーも変えなくちゃ・・・

11月のカレンダー(ブリヂストン美術館のもの)は、
古賀春江の「単純な哀話」1930年 でした。

古賀春江のシュールでやさしい色調の絵には
なぜだか慰められます。
明るい未来を描いた作品からは
もはやノスタルジーしか感じられないのに。
なんだか懐かしい気持ちが膨らんできて、
微笑ましいくらいです。

代表作「海」を観たことがあります。
最近になって、詩も書く人であったことを知りました。
「海」も絵と詩が調和しています。


  【海】 (1929)

 透明なる鋭い水色。藍。紫。
 見透される現実。陸地は海の中にある。
 辷る物体。海水。潜水艦。帆前船。
 北緯五十度。

 海水衣の女。物の凡てを海の魚族に縛(つな)ぐもの
 萌える新しい匂ひの海藻。

 独逸最新式潜水艦の鋼鉄製室の中で
 艦長は鳩のやうな鳥を愛したかも知れない
 聴音器に突きあたる直線的な音。

 モーターは廻る。廻る。
 起重機の風の中の顔。
 魚等は彼らの進路を図る――彼等は空虚の距離を充填するだらう――

 双眼鏡を取り給へ。地球はぐるつと廻つて全景を見透される。


この詩のとおりの絵でした。
今“双眼鏡を取り給へ”とつぶやいて世界を見渡せば、
あまりの混沌さに目を回すことでしょう。
それでも目をつむって生きることはできません。
見渡す勇気を忘れないようにしなければ。

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