2011年4月29日金曜日

「偶然の祝福」

「偶然の祝福」 小川洋子著 角川文庫

大阪の本社に行く途中、いつもはうたた寝しているのに、
何か読みたくなったので、途中下車。
小さな町の小さな本屋さんに寄って、選んでみました。

これは2000年に単行本が出ているそうなので、
もうずいぶん前の作品になりますね。
ある作家が語る短編小説です。
以前の小川さんの作品は
常に死の気配が漂うものが多かったように思います。
この本もそういったどこかひんやりとして感覚が、
底辺に忍んでいて、少々怖さも感じられます。
その中に「キリコさんの失敗」という、
優しさと思いやりとユーモアが溢れる作品がありました。
これは愛情が前面に感じられる作品として、
その後の小川さんの作品に通じるように思い当たります。

小川さんの作品では、語り手の心情が、
天候や状況展開に及んで描かれることが多くて、
そのたびに読み手の気持ちも揺さぶられます。
すぐに影響を受けてしまう読み手は、
本を選ぶ際には、気をつけておかなくてはいけません。

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