2012年7月29日日曜日
「キリスト教の真実」
「キリスト教の真実」 竹下節子著 ちくま新書
これは手ごわい新書です。
新書というのは、ある分野の入門の役目も果たしてくれますが、
入門にしても難しい。
キリスト教の歴史について基本的な知識も必要ですし、
世界史に加え、現代世界状況も頭に入っていなければ、
ついていけません。
というわけで、自分はわかっているふりをしながら、
理解まではほど遠いという読書になりました。
現代人としてはこれくらいの知識は必要かと反省しつつ、
刺激的な内容に圧倒されたのです。
副題に“西洋近代をもたらした宗教思想”と
あるように、まずキリスト教がどのように西洋社会に受け入れられたか、
そこから始まりますが、目次を見てみましょう。
第一章 ヘレニズム世界に近代の種をまいたキリスト教
第二章 「暗黒の中世」の嘘
第三章 「政教分離」と「市民社会」の二つの型
第四章 自由と民主主義の二つの型
第五章 資本主義と合理主義の二つの型
第六章 非キリスト教国の民主主義
第七章 平和主義とキリスト教
以上のように、歴史的観点から始まり、
政治とキリスト教との関係、
自由と民主主義とキリスト教との関係、
資本主義、合理主義との関係をフランスやアメリカなどをモデルに
現在に至るまでの歴史を考察しています。
その上で、記憶にあたらしいジャスミン革命を挙げ、
イスラム圏における民主主義をなぞり、
平和主義とキリスト教という大きな課題にとりくんでいます。
著者の幅広い知識と教養、広い視野に、
どこまでついて行けるか。
そこが一つのポイントです。
というのは、著者の文体には一種“無知への怒り”に似たような、
感覚が感じられるのです。
立て続けに論じられる大きな社会問題は、
キリスト教が大きく関係しているだけに、
キリスト教を切り離して考えることはできないことがよくわかります。
それだけに、キリスト教になじみのない人々が、
国際社会について簡単に論じることはできないと、
諭されているようです。
いきなりこのような中身の濃い本を読むには、
自分はまだ準備不足ですが、
これから知るべきことが多くあり、
日本も国際社会の中でどのように動いていくのか、
新聞一つ読むにも考慮が必要だと痛感したのでした。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿