2018年1月2日火曜日

「魔法の夜」

「魔法の夜」 スティーヴン・ミルハウザー著 柴田元幸訳 白水社


真夏の夜には、月が魔法をかけてくれる。
魔法をかけられた人たちの、エピソードが連なる中編小説です。


女の子、中年の男性、酔いどれ、マネキン、人形たち、
男の子、恋する女性、エトセトラ。
みんな月に酔わされたように、ふらりふらりと動き出す。


月に酔わない人もいるのです。


それぞれのエピソードが交錯するかと思えば、
普通に閉じられていくエピソードもあり、
そうそう変わっているわけでもありません。
このような題材の小説はいくつもあるでしょう。


ミルハウザーは月に酔わされた人々に夢を見せてくれます。
つかの間の夢。
かと思えば、現実的な展開もあったり、と、
同じパターンは一つとしてありません。
まったく退屈する暇などないのです。


ミルハウザーに求めるファンタジーと現実の狭間を、
月夜に眺める私たち。


この世界は誰にもまねのできるものではないでしょう。
ミルハウザーという人物はいったいどんな人なのでしょう。
飛躍する想像力、永遠に広がっていく夢、夢想、
それらを言葉に置き換えて、
現実に世界に登場させるなんて。


この小説の中身をお伝えする力は私にはありません。
一度、手に取ってみてください。
この世界は、自分の眼に見えるものだけではないかもしれません。

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