2018年1月4日木曜日

「スパイたちの遺産」

「スパイたちの遺産」 ジョン・ル・カレ著 加賀山卓朗訳 早川書房


2017年に出版されたばかりの本を、
もう翻訳で読める。
それだけ、注目されている小説なのです。
ジョン・ル・カレの出世作「寒い国からやってきたスパイ」と、
スマイリー3部作の続編にあたります。


スマイリーの片腕として能力を発揮したギラム。
彼ももう引退して、故郷フランスで静かに過ごしています。
そこへ諜報部から呼び出しが。
かつての事件にかかわった人物の遺族が動いているということです。
隠された資料の提供を求められたギラム。
ギラムはスパイとして活動していた持ち味の能力を蘇らせつつ、
眼の前におかれた報告書をもとに、
過去に遡っていきます。
でも、真実を知り、自分に指示を与えていたスマイリーは、
いったいどこにいるのでしょうか。
彼こそが鍵であるのに。


「寒い国・・・」「ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ」を
読んでおられる方は堪能されることでしょう。
その背景がギラムによって語られます。
それまで奥にいたギラムの活躍が、
ギラムという人間の持ち味が活かされています。


ずいぶん過去の作品を織り交ぜ、
東西が分裂していた時代に戻って、
ここまで読み込ませるドラマを書く、それはこの作家の見事な腕。


登場人物の描き方がとても好きなこともありますし、
ドラマティックなところも好きですし、
細やかな心の動きの落とし込み方も好きですし、
あらためて感動しつつ読みました。
先日には、作家の回想録も出ましたから、
そちらも覗いてみたくなってきました。


スパイ・スリラー作家の最高峰、そういっても過言ではないでしょう。

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