2014年1月13日月曜日

「余りの風」


「余りの風」 堀江敏幸著 みすず書房

あまりの難解さに一年間寝かせてありました。
再度、開いてみてもやっぱり難しい。

とりあげられている作家たち
 平岡篤頼
 佐伯彰一
 竹西寛子
 小山清
 古井由吉
 藤村と透谷
 藤枝静男
 小島信夫
 吉田一穂
 田村隆一
 高田博厚
 植草甚一
 須賀敦子
 山田稔
 シルヴィア・バロン=シュペルヴィエル
 ゼーバルト
 ソレルス
 ジャック・レダ

どの作家の場合も、作品を読んでおかなければ全く歯が立ちません。
それだけ作品の内容に通じ、関連した事柄や書物を知らねばならないということです。
なんという読書量と読解力なのでしょう。

知っている作家として内容が理解できたのは、須賀敦子さんを取り上げた章でした。
これもまた須賀さんの作品に通じ、ユルスナールを研究された人にだけ書ける読みで、
ひとつ“島”というキーワードを上げておられました。
なるほど。
須賀さんの作品については、もっと理解を深めたいと常々思っていますが、
堀江さんの考えもヒントになりそうです。
もっと須賀さんについて書いていただきたいのですが、
これは個人的な願望ですね。

あと少々理解できたのは、ソレルス訪問記(これはとても面白いです)、
ジャック・レダについて書かれた章で、
他はとりあえず齧ってみたという程度になりました。

堀江さんの力量にまたしても圧倒された一冊でありました。
大学教授、小説家、随筆家、批評家、4つの顔を持つ堀江さん、
まだ隠された顔があるのかもしれません。

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