2014年2月13日木曜日

「正弦曲線」


「正弦曲線」 堀江敏幸著 中公文庫

ぼんやりとしていたとしても、
ぼうっと歩いていたとしても、
出会う一つ一つの事柄が、
様々な糸で結びついて、
お話になっていく。

それは堀江さんのアンテナが、
いつも敏感に反応しているからだと思うのです。
そしてそういったことを、
言葉に置き換えて巧みに表現することができる、
それが堀江さんの優れたちから。

そもそも堀江さんはぼんやりなどされていないのです。
ときどきそんな風に装っておられるだけです。

同じように書かれたエッセイは他にもあるのでしょうが、
ピントを合わせた先を共有できる書き手、
それが堀江さんです。

信じられないほどの博識、
それも堀江さんが糸付けしている事柄がつながっているのだと
考えています。

みんな誰にでもあると思うのです、
こういったキーワード的なものが。
ただ、それをこれだけの知的で優しげな装いのエッセイにできるかどうか。
差異というのはこういうことを指すのでしょう。

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