2009年11月29日日曜日

「シルヴィア・ビーチと失われた時代」

「シルヴィア・ビーチと失われた世代」上・下
ノエル・R・フィッチ著 前野繁 中田裕二 岡本紀元訳 開文社出版

シルヴィア・ビーチをご存知でしょうか。
1920年代パリでシェイクスピアアンドカンパニー書店を開業し、
ジェイムズ・ジョイスの「ユリシーズ」を出版したことで知られています。

そのシルヴィアの活躍を資料に基づき編んだのが、
この本です。
当時の作家達の活動が詳しく明らかにされています。
多くの人がめまぐるしく登場するので、
読むのは大変ですが、
1920、30年代のパリにおける文学の世界に興味のある人には、
是非おすすめしたい本です。

この本に出会ったのは偶然のことでした。
Les Années folles に関心を持ち出したころのことです。
図書館でアメリカ文学のところを通るたびに、
赤くきらきらと光る背表紙の本に目が留まりました。
まるで“手にとって!”と呼びかけられているようでした。

出版されたばかりのその赤い本は、
内容もきらきらとしていました。
知らない夢のような世界がそこに広がっています。
シルヴィア達が奮闘する時代へ、
一気に入り込みました。

文学そのものには好みがあるので、
何でも読むというわけにはいきませんし、
英文学にはあまり関心が無かったので、
研究したいと思うことはありませんでしたが、
作家ではないシルヴィアが書店を運営することで、
文学の世界に参加していることに、
共鳴に近い感覚を持ったのでした。

今も夢を実行に移し、実現させたとして、
シルヴィアは敬われている人なのです。

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