「目を見開いて」 ユルスナール・セレクション6
聞き手 マチュー・ガレー 岩崎力訳 白水社
1971年秋からユルスナールの住む「プティット・プレザンス」を
訪れるようになっていたガレーが数年に渡り対談を行い、
それをまとめたものが本書です。
ユルスナールの幼少期、多大な影響を与えた父、
初期からの作品について、代表作について、
そして社会問題について、作家として、
最後に一人の人間としてユルスナールは思慮深く、明快に、
返答しています。
返答というより、自分の生き方、考えを述べるといった風でしょう。
ユルスナールの思想の全体像が見渡せる重要な内容です。
タイトルの「目を見開いて」は、
『ハドリアヌス帝の回想』の最後の言葉でもあるという、
“目を見開いたまま、死のなかに歩み入るよう努めよう・・・”
から取られています。
ユルスナールは対談の中でも、
「私としては、意識を完全に保ったまま死にたいと考えています。
病気の進行が充分に緩慢で、いわば私の死が私のなかに入り込み、
全体に広がる時間を与えたいのです。」
と述べています。
読んでいる最中にも、考えさせられること、頷かされることが
数多くあり、その感動は小さな文章にまとめることは困難です。
巻末の堀江敏幸さんのエッセーと岩崎力さんの解題も
読みほどく助けになってくれます。
この本はこれからも何回も読むことになるだろう、
そういう重要な本であることは、タイトルからも察せられます。
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