2011年1月2日日曜日

「目を見開いて」

「目を見開いて」 ユルスナール・セレクション6 
聞き手 マチュー・ガレー 岩崎力訳 白水社

1971年秋からユルスナールの住む「プティット・プレザンス」を
訪れるようになっていたガレーが数年に渡り対談を行い、
それをまとめたものが本書です。

ユルスナールの幼少期、多大な影響を与えた父、
初期からの作品について、代表作について、
そして社会問題について、作家として、
最後に一人の人間としてユルスナールは思慮深く、明快に、
返答しています。
返答というより、自分の生き方、考えを述べるといった風でしょう。
ユルスナールの思想の全体像が見渡せる重要な内容です。

タイトルの「目を見開いて」は、
『ハドリアヌス帝の回想』の最後の言葉でもあるという、
“目を見開いたまま、死のなかに歩み入るよう努めよう・・・”
から取られています。
ユルスナールは対談の中でも、
「私としては、意識を完全に保ったまま死にたいと考えています。
 病気の進行が充分に緩慢で、いわば私の死が私のなかに入り込み、
 全体に広がる時間を与えたいのです。」
と述べています。

読んでいる最中にも、考えさせられること、頷かされることが
数多くあり、その感動は小さな文章にまとめることは困難です。

巻末の堀江敏幸さんのエッセーと岩崎力さんの解題も
読みほどく助けになってくれます。

この本はこれからも何回も読むことになるだろう、
そういう重要な本であることは、タイトルからも察せられます。

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