2011年1月19日水曜日

「流跡」

「流跡」 朝吹真理子著 新潮社

冒頭から圧倒的な筆力に押されてしまいました。
著者は26歳でありながら、もうすでに達観しているかのような面持ち。
国文学を専攻されているからでしょうか、
雰囲気は現代にはなく、江戸時代に遡ったかのようです。
USBメモリとかいう単語も出てきはしますが。

「新潮」1月号に堀江敏幸さんと著者との対談が掲載されていました。
(ドゥ・マゴ文学賞受賞<選考者堀江敏幸>に際する対談)

そこではこの「流跡」を書くきっかけや、小説についての考えなどが
述べられていて、研究の専門が近世歌舞伎であり、作品や思考、
もう一つの嗜好にも影響があることがわかります。
この対談を読むだけでも、今後書かれる作品に期待が寄せられるかと思います。

個人的には、その古風さと現代的感覚が入り混じったところが、
いまひとつ好みではないため、
好きな作品とは言いがたいのが残念です。
今後の活躍が楽しみな作家なので、
注意を払っていきたいと思います。

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