2011年10月23日日曜日

「メグレと無愛想な刑事」

「メグレと無愛想な刑事」 ジョルジュ・シムノン著 新庄嘉章訳 ハヤカワ・ポケット・ミステリ370

1957年と古い翻訳です。ですから小さい“つ”が大きかったり、
ずいぶんと古めかしい言い回しや、表現がされていたり、
いまどきこんな言葉づかいはしないだろうというような、
丁寧で古風な会話が出てきたりします。
それがまたなんともいい味わいを出しているのです。
メグレの時代はきっとそんな感じだっただろうと思われたりします。

メグレという人を紹介する部分があるわけではありませんが、
メグレの行動と考えを見ていると、
本当に頼りがいのある、思慮深い、タフで慎重で情の厚い人と
うかがえます。
ユニークなところはないけれど、読んでいてほっとさせられる、
味わい深い警察小説ですね。

この本は短編集で、4つの作品が入っています。
派手な事件はなく、どれもじっくりと捜査してじっくりと熟慮の上で
解決を見ます。見事です。
よく考えてみると、どこかにほころびがあったり、食い違いがあったりして、
ヒントとなるようです。
メグレに委ねると、まるで煮込み料理(メグレ夫人の得意料理のように)みたいに、
しっかりと考えられて立派な仕上がりになります。美味しい。

メグレ物が大好きなので、手に入る範囲で少しずつ読んでいますが、
ストックがあと2冊しかありません。
ああ、あの河出書房新社のシリーズをまるごと手に入れることができれば!

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