2012年6月23日土曜日

「特捜部Q Pからのメッセージ」



「特捜部Q Pからのメッセージ」
ユッシ・エーズラ・オールスン著 吉田薫・福原美穂子訳 ハヤカワ・ポケット・ミステリ1860

「特捜部Q」の第三弾は、
ボトルに詰められたメッセージをめぐる捜査を中心に始まります。
メッセージから読み取れるのは“助けて”という言葉と“P”というサインらしき文字だけ。
これをアサドとローサとユアサとかつての捜査員とで読み取ろうとします。
書かれてから年数も経っているようだけど、“助けて”という言葉は、
ローサたちを鼓舞します。

いつもながらの警察庁の動きも相変わらず。
大きな変化はカールの同僚ハーディを病院から自宅へ引き取ったこと。
家のものたちは親身になってお世話をし、カールはひとときもハーディのことを
忘れることがありません。
そんなところへまだ離婚していない妻ヴィガがまたひと波乱させてくれます。

コペンハーゲンで起こった数件の火災事件にもカールたちは係り、
アサドが大活躍します。
そのアサドの私生活についてカールは何も知ろうとはしませんでしたが、
自宅を訪ねてみて、どうやら何かあるようだと推察します。
アサドの謎。

そして双子の姉妹だというローサとユアサの謎。

謎だらけの中でただ一つ癒しを求められるのは、
カールの意中の人モーナだけ?

カールにはモーナが紹介してくれた心理療法士の男性が
新たに診療を始めます。
これはこのシリーズの根底にある一つの事件に深く関係することになるでしょう。
この事件がカールたちを苦しめており、この謎が解かれる日を
読者も待っているのです。
ただこの診療士、ゲイということで、カールを困らせてくれるのですが。

いつもながら、オールスンのこのシリーズは、
多彩な人物が登場し、
その登場人物の視点から描かれる章が並立する形でなりたっています。
今回はそのあたりのバランスも絶妙で、
退屈する暇もありませんでした。
読み応えも十分、面白く、凄まじいシーンもありますが、
デンマークという国もどことも同じく問題を多く抱えたところであることも、
一つ勉強になります。

一気に読み過ぎてもったいなかったなぁ。
それだけが惜しいと思うほどに、よく書かれた作品でした。

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