2013年2月13日水曜日
「レキシントンの幽霊」
「レキシントンの幽霊」 村上春樹著 文春文庫
収録作品
「レキシントンの幽霊」
「緑色の獣」
「沈黙」
「氷男」
「トニー滝谷」
「七番目の男」
「めくらやなぎと、眠る女」
書かれた時期が異なるということだそうですが、
いずれの作品もタッチが微妙に違い、
どのような題材を持ってきても書きこなしてしまえる技に圧巻です。
どれをとってもリアルで、お話とは思えない。
引き込まれてしまいます。
個人的には、もっともリアルで深刻さがただよう「沈黙」に、
共感するところがありました。
そうなのよ、そのいう人間がいるのよ、という感じです。
村上作品にみられる浮遊感ただよう不気味さも、
味わうことができます。
もっともそれが顕著なのは「めくらやなぎ」でしょうか。
この作品は長編にも通じる不可思議な感覚が張り巡らされています。
そういう感覚の波長が合うと、村上作品と協調できるのでしょう。
私はそのあたりがかみ合わなくて、村上作品には距離をおいています。
これまで読んだことがあるのは、「羊をめぐる冒険」、
「ノルウェイの森」、「神の子供はみな踊る」。
もちろん話題になった作品の概要などはチェックしていますが、
いまいち食指が伸びません。
「神の子供」がとてもよかった印象があるので、
短編は楽しめると思っています。
今回もその思いを強くしました。
村上作品は、人間の本質をついているのですよね。
だから、長編もじっくり掘り下げて読めば、理解できるでしょう。
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