「ヨーロッパ・コーリング」 地べたからのポリティカル・レポート
ブレイディ・みかこ著 岩波書店
この本が出版されたのは、2016年6月でした。
著者のブレイディ・みかこさんはイギリス、ブライトン在中の保育士であり、
ライターとしての活動も積極的に行っておられます。
そういうわけで、EU離脱前夜のイギリスの状況を中心に、
現在の格差社会の実態について書かれています。
まずは、リアルなイギリスの貧困層の現状についてレポートがあり、
そこから何故そのようなことになっていったのか、
また、国民はどのように考えているのか、
それに対し、政治はどのように動いているのか、
と少しずつ視点をずらしながら、実態を描いてあります。
国民の生活を支えるべき政治家たちは、
どのように考え、動いているのでしょうか?
イギリスの与党、野党の主張について具体的に報告されています。
そのあたりは、新聞を読むより興味深いところです。
というのも、今、皆が関心を持っている課題を取り上げているからです。
与党・保守党よりというよりかは、
今後どのような動きを見せるのか、期待される野党の様子を、
スペインの野党と比較しながら、報告されています。
それは、日本の現状とはまったく異なる政治状況です。
これくらいやってほしい、と思わせられるくらい、
刺激的な党首討論が繰り広げられています。
とても読みやすい、それは視点が国民目線だからですが、
こういう現状レポートは必要だと思われます。
上手く語る、これは外国ではかなり求められることなので、
自分の意見を語ることができるのかと思われますが、
私たち一般の日本人も、政治について語る必要があるでしょう。
今年には“保育園落ちた、日本死ね”という刺激的な発言がありました。
これに衝撃を受けた人も多いかと思います。
これが実態であることを、理解しなければいけないでしょう。
この本を読むことで、
私たちも海外の状況を理解し、
自分たちも考えることを促される、
そういう一冊だと思われました。
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