「図書」3月号に掲載されていた
“ルーカス・クラーナハと宗教改革” by宮田光雄
を読んで、ルターとクラーナハとの具体的な関係と、
クラーナハが宗教改革に関わったあたりの話を読んでいると、
もう一度クラーナハを観ておきたい、と気持ちがむずむずしてきました。
で、再度出かけて参りました。
これだけのクラーナハを観る機会は、なかなか無いであろう、
とも思ったのです。
同時代のデューラーの作品も数点あります。
クラーナハは、肖像画、宗教画、マリア像も描く年代によって少しずつ変化が見られ、
寓話を題材にしたものもあれば、当時の様子を描いた銅版画もたくさんあり、
幅広く作品を手掛けていたことが、よくわかります。
終盤に、ルター関連のスペースがあり、
クラーナハ自らルターの改革文書を出版、販売していたことを念頭においておくと、
ルターとの密接な関係や、その活動の支援に深くかかわっていたことが、
確かめられます。
ふむふむ、とわかったようにして観てまわり、
もう一度観ておきたかった「正義の寓意」の前に立ちました。
これは意外と大きな絵なのです。
しっかりと前を見つめる眼が印象的です。
そして、クラーナハ特有の薄いベールが身体に沿い、
裸体を美しく仕上げています。
背景が濃い色であることも特徴だそうですが、
そのため、くっきりと浮かび上がって見えます。
テーマに対し、完璧な絵です。
構図、テクニック、配色も言うことがありません。
そして画家が託したエッセンスにより、
美しさが際立ちます。
こういった絵に出会うことは、そうそうありません。
人それぞれに、このような絵画との出会いがあるのだと思います。
久しぶりに、納得のいく、溜息をついてしまう絵と出会うことができました。
“ユスティティア”・・・またどこかで会えますように。
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