「海へ出るつもりじゃなかった」 アーサー・ランサム著 神宮輝夫訳 岩波書店
ヨットはもちろんボートだってお船だって、ほとんど乗ったことがありません。
でも、乗った感覚はすごくよく知っているような気がします。
それは、アーサー・ランサムを読んだことがあるから。
子供のころの話です。
もともと家にあった始めの5冊を読み出して、すっかりはまりこみ、
少しずつ残りのシリーズを買い求めて、読んでいました。
中でもこの「海へ出るつもりじゃなかった」のリアルでスリリングな内容に魅了され、
拾い読みも含め、これまで何回読んだことでしょう。
大好きなシーンはシンバットの救出です。
思いもかけず、海に出てしまった子供たちは、
無事、嵐の夜を乗り越えて、遭難者まで助けあげる気持ちのゆとりを持っていました。
そしてご褒美が待っています。
ドラマチックな内容なのに、ランサムの淡々とした表現がとても清清しく、
簡素さが感情の移入を容易にしてくれます。
また、ランサムによるシンプルな挿絵がきれいに納まって素敵です。
イギリスの子供たちは、豊かな自然の中で、
こんなに楽しい夏休みを過ごしているのかと、
とても信じられない気分になったことを覚えています。
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