2011年7月17日日曜日

「私の中のシャルトル」

「私の中のシャルトル」 二宮正之著 ちくま学芸文庫

十年前ほどに読んだこの本のことを時々思い出します。
恥ずかしながら、正確にはどのような言葉、
文章が記述されていたか覚えていないのですが、
ただ、そこにある思考の奥深さに支えられた静けさが、
一個人の心の中のある一つのスペースを占めています。

久しぶりに取り出してページを繰ってみると、
この文章は確かに読んだとの記憶が蘇ってきました。
ここに書かれている内容は今の自分の生活とは何の関わりもないところにあり、
そのうえはっきりと述べれば、自分の興味の対象でもないのでした。
とはいえ、
エッセイという形式によって、異文化を土台にした思索を辿ることは、
困難な読書ではあるものの、非常に魅力的な光を放つものでもあります。
この本もそういう魅力を感じて読んだのでした。

内容を改めて読むことも必要かもしれないのですが、
この思索という作業が今の自分には最も求めることの一つであり、
それを体現して形を成しているという一つの例として、
大切な本なのでした。

本を広げれば、その著者の世界観に触れることができ、
さらに新たな道を示してくれる、そういう読書が必要な時があります。

著者の二宮正之氏は東大で学び、エコール・ノルマルで学んだ後、
ジュネーブ大学で教鞭を取っておられたそうです。

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