堀江敏幸さんの「象が踏んでも」と並走して、
文庫化された短編小説集「未見坂」を読み始めてしまいました。
堀江さんの視線と登場人物のそれに重なって、
読み手も視線を動かしていくと、
自然にそのシーンが浮かんできます。
物語に入り込みんでいくと、
主人公と同じところで視点がとまったり、
ある部分が気になったり、
そこからある記憶をさかのぼって色々と思い出したり、
と、まるで自分が体験しているかのような気分になってきます。
そういう気持ちの動きは単なる“共感”とも異なるように思えます。
主人公と自分が重なったような感じなのです。
そして物語の終わりにくると、
なんだか泣きたくなってくるのでした。
本当にここで涙を流せば、心がすっきりとするかもしれない。
でも心が固くなっている自分はぼんやりと空を見つめているだけなのです。
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