「猫を抱いて象と泳ぐ」 小川洋子著 文春文庫
単行本で出たときからこのタイトルが不思議でした。
猫を抱いて、はわかるけど、
象と泳ぐ?
ちょっと難しくない?
内容はチェスをする成長を止めた男の子の話というし、
楽しめるだろうか、付いていけないのではないか?
と不安ばかりでした。
文庫になったからには、ここでトライです。
読みだしてみると、もう止まりません。
すぐにすっぽりと入り込んでしまいました。
シチェーションの面白さ、
人物造形の自然な存在感、
展開の巧みさ、
山場も所々あり、
息もつかせません。
そしてチェスを生かしたストーリー展開の楽しさ。
不思議なタイトルは主人公とチェスを結ぶものでした。
常に漂う不穏感の向こう側には静けさと豊かさが待っているのでした。
これは傑作です、と最後につぶやきながらページを閉じました。
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