2013年9月18日水曜日
「ひとりの午後に」
「ひとりの午後に」 上野千鶴子著 文春文庫
上野さんのお仕事については、
「おひとりさまの老後」以降多くの読者がおられ、
“おひとりさま”や“老後”について書かれた著書で、
一気に一般に広がったことと思います。
このエッセイは“おひとりさまの老後”を目の前にされた
上野さんの個人的な思いが綴られた本で、
著者がどういった人かということが、
伝わってきます。
もともと上野さんはジェンダー研究の専門家でいらっしゃいます。
高校生のころから女性と社会と結婚制度について疑問をもっていた私。
上野さんのことは京都にいらした時から気にかけておりました。
ただ、ジェンダー研究というか、フェミニズムについて考えると、
あまりの不公平さに憤ってしまうため、
そのジャンルの本には逆に触れないようにしてきました。
その道を行くと、自分をとりまく社会では生きにくいようにも思えました。
それから数十年経ちましたが、
根本的には私の考えは変わらずにいます。
なので、時々上野さんの本を読むことがあります。
自分がもっと賢く、教養があり、知恵があり、体力があったら、
ジェンダー研究に進んでいたかもしれません。
それほど、共感することが多いのです。
ずっと上野さんは、私にとって遠い存在の先生。
先生というより、気持ちの上では先輩とお呼びしたいくらいです。
これまでのエッセイ「ミッドナイト・コール」、「うわの空」も
読み返して、その生き方をまたなぞってみたいですし、
本格的な著書についても落ち着いて広げてみたいと思っています。
遙洋子さんの「東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ」も、
学問をすることの困難さを知らしめるよい本だと思います。
で、この「ひとりの午後に」の感想は、
“やはり上野さんは賢い”の一言につきます。
エッセイがエッセイで終わらずに、声掛けの内容になっているのです。
研究者で行動派の人が積極的に社会に関わる姿は近年増えてきましたが、
このようにソフトな切り口というのも大切だと思われました。
※そんな私が何故家族と同居を続けているのか?
と疑問を持たれる方が多いと思いますが、
色々と事情があるのでありまして、
大きな声を出すわけにはいかないのです。
実は複雑な心境であります。
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