1920年代のパリに憧れ、
NRFという名前を聞くだけで、どきどきしてしまう、
そんな人にはヴァレリー・ラルボーはとっておきの人です。
シェイクスピア&カンパニー書店のシルヴィア・ビーチを助け、
ジョイスの「ユリシーズ」の出版に貢献した人としても知られています。
ラルボーの作品で読んだことがあるのは「幼なごころ」で、
とても気にいっていましたが、「恋人たち、幸せな恋人たち」や
「罰せられざる悪徳・読書」は入手はしたものの、
なぜか読む気になれず、今に至っています。
代表作である「A.O.バルナブース全集」は、長い間その名前に
惹かれていて、いつか読んでみたいと思っていた本です。
ついに岩崎力さんの訳で岩波文庫から出版されたので、
大喜びでありました。
で、その本の知識は何もなく読み出したのではありますが。
何か馴染めない。
ついて行けない。
一ページごとに目を走らせてみても、
ちっとも親しみが感じられない。
すごく捻ったエスプリも苦手だし。
バルナブースが客観的に世界を見て、記述しているのは
わからないことはないけれど、共有できない哀しさよ。
友人との会話も絵空事のようで、
楽しむに至らない。
というわけで、読者失格の烙印を押したのでした。
訳者の岩崎力さんはユルスナールの友人、訳者として
身近に感じられる人ではありますが、
「ヴァルロワまで」というタイトルのエッセイからして、
ラルボーを愛する方なので、友人失格でもあります。
その上、堀江敏幸さんもラルボー好きでおられます。
とても残念な結果に終わり、
もう少し努力をするべきなのか、
悩むところです。
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