2016年1月2日土曜日

「現代小説クロニクル2000-2004」

「現代小説クロニクル2000-2004」


時代も2000年に入ると、
すっかり現代小説らしくなります。


「生きる歓び」 保坂和志
「砂売りが通る」 堀江敏幸
「われら猫の子」 星野智幸
「半所有者」 河野多惠子
「インストール」 綿矢りさ
「逆水戸」 町田康
「入学式」 佐藤洋二郎
「蛇にピアス」 金原ひとみ


次々と作品を発表されている保坂さんの作品は、
比較的言葉を使いこなして物事や心理を表現しようとしているような
印象を受けました。
対照的に堀江さんの作品は行間からにじみ出てくる余韻が生きているように
感じられるのですが。


星野智幸さんの「われら猫の子」は、現代小説の鏡ともいえるかも
しれません。構成といい、テーマといい、主人公の心理描写といい、
明快でいて、コンパクトにまとめられていて、読後の余韻も残ります。


「半所有者」は意欲作ではありますが、
こういった作品が私を悩ませます。
「蛇にピアス」も同様で、年齢を感じさせない書き手の冷静さに、
どのように受け取っていいのかわからないのです。


金原さんと同時に芥川賞を受賞された綿矢さんの作品は、
若さと瑞々しさを感じさせます。
題材が今日的であることもリアリティがありますね。


「逆水戸」、これも泣かされました、わからんと言う意味で。
大変面白いのですが、作品の意図がわかりません。
頭固くてすみません。


「入学式」はここに取り上げる意味が不明です。
古風な題材、変わらぬ人間関係、短編としての出来具合とは別に、
現代的とは思えないのでした。

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