“目の前に開けているのは、霧を通して徐々に
陽が射してくるあの美しい朝のひとつだった。”
ゼノンは海岸に向かって歩き出します。
“事物に逆らって自分の道を切り拓いてゆく精神の歩みが
崇高な深遠さに人を導くのは確かだったが、
この世にあることからなる営み自体を不可能にするものでもあった。
・・・変化は再生であり、ほとんど輪廻と言うべきものだった。
・・・この出立から完全な自由が生まれつつあった。”
美しいこの『砂丘の散歩』という章の中で、
ゼノンは深呼吸をし、瑞々しい感覚をつかみ直します。
しかしこの後、ゼノンは捕らえられます。
ゼノンは冷静に逮捕を受け入れ、
その身を牢獄に置き、
己自身と向き合うことになります。
裁きを受けるにあたり、
ゼノンの著作内容や、思想について、
彼自身も司教に弁明を行い、
同時に社会観念に相対して検討されます。
ゼノンの立場の苦しさは、
嘘偽りのない彼の人格からして、
相当なものだと思われます。
今日は336ページまで。
中途半端な読み止しで、
まとまりがつきません。
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