「空間の旅・時間の旅」 マルグリット・ユルスナール著
「三島、あるいは空虚のヴィジョン」 澁澤龍彦訳
を続いて読んでみました。
三島由紀夫を読んだ経験が無いので、
ユルスナールの丁寧な解説に助けられつつ、
三島の作品世界を辿りました。
三島がユルスナールを高く評価しているのを知り、
ユルスナールも三島を読んでみたようです。
高貴な趣味で、教養もあり、才能もあり、
強靭な行動力も持ち合わせてその名を轟かせた三島ですが、
心に訴えるものが感じられません。
作者としてのナルシシズム、エゴイズムが強いような気がします。
小説を読んだこともないのに、
そう判断を下してしまうのは危険ですが、
どこかユルスナールの気質と似たようなところが
あるようにも思えます。
澁澤龍彦も翻訳の際のあとがきで、
“肉体の感覚や外部世界の偶然を通して、
死が自分に送ってくれる合図の一つ一つを感じれば
感じるほど、ますます自分が賢明に強く生きていると
いうことを自覚する人間”がいるとし、
編者の岩崎力さんも
三島もユルスナールもそういう人間に属していると
述べられています。
“死”をどう意識しているか。
“生”を意識するよりも、“死”の気配を強く感じる人は、
また独自の世界観を持っているように感じます。
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