マリオン・コティヤールが熱演しているのを観ていたら、
“パダン”という歌が出てきました。
その歌いだしは『パダン♪、パダン♪』と熱烈な調子でしたが、
体調を崩していたピアフはそこでバタンと倒れてしまいます。
この映画ではマリオンの演技が強調されていて、
ピアフの激烈な人生が手に取るように伝わってきます。
ピアフのことを全く知らず、白紙状態で観たので、
新鮮でもありました。
しばらくして、スマトラ大地震が起きました。
中継でパダンという地名が出てきたのです。
ああ、そうか、パダンは土地の名だったのだ。
そういえば、よく似た音の名があったなあ。
と考えてみると、全く関係の無い話でした。
マルグリット・デュラス著 「戦争ノート」 河出書房新社 に
「ドダン夫人」草稿があったのを思い出したのです。
「パダン」と「ドダン」ちょっと似ているだけで、
何にも関係ありません。
この「戦争ノート」はデュラスの無名時代に書かれた
作品の草稿やメモが書かれた4冊のノートをまとめたものです。
既に作家デュラスの姿が見えています。
戦時中の話も多く、リアリティに富み、
人間の業を書き抜くデュラスの技があります。
「ドダン夫人」はパリのアパルトマンのコンシェルジュ。
愚痴をこぼしながらも強く生きている女性。
生きていくにはこれくらいしぶとく、したたかでないと、
現実に目を向けるよう言われたような気がしました。
堀江敏幸さんの「彼女のいる背表紙」を読まれた方は
もう「ドダン夫人」に会われていますね。
デュラスのテキストでは、生々しいですが、
堀江さんの解説により、年配の「ドダン夫人」の痛みが
よく伝わってきます。
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