多和田葉子さんの新作は
さらに驚きと困惑を秘めてやってきました。
主人公の優奈はハンブルグに暮らす学生で、
年は20代半ばとあります。
彼女が見たこと、感じたこと、考えたこと、
彼女を取り巻く事項について、
小さなまとまりをもって語られています。
その小さなまとまりには、
章のタイトルとして、
漢字一文字が選ばれ、
さらに裏返しにした状態で印字されています。
これは一体何?
優奈にしか説明できないことです。
その漢字を眺め、意味を考えながら読んでみると、
内容はとてもシンプルで、
優奈にとってのその漢字の意味が読み取れます。
解釈の方法はいくつでもあるでしょうが、
簡単にできるのは、
自分のケースと置き換えてみることです。
この作品の刺激的な形態や内容に触れてみて、
万人が物語ることが可能なことを思い出し、
面白いと始めて感じました。
優奈という女性とは、繋がりが持てなかったので、
作品の内部まで降りていくことは出来ませんでした。
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