1月の岩波書店PR誌「図書」の表紙は、
“L'HISTOIRE DE MELUSINE”1699年刊行の本です。
宮下志朗さんが“メリュジーヌ物語”のあらすじと、
この本がどのように広がっていったのかを解説しています。
“メリュジーヌ物語”はフランス版“ヘビ女房”というところで、
美しい妻は実は・・・であった、その正体を知られてしまった時、
空を舞って去ってゆく、という話です。
この“メリュジーヌ”という名前を見て思い出したのは、
「抱擁」 A.S.バイアット著 新潮文庫 です。
バイアットは、「碾臼」で知られるマーガレット・ドラブルの姉にあたり、
この作品でブッカー賞も受賞しました。
この「抱擁」という作品は、
ある詩人を研究する青年が思いがけない発見から謎解きを始めることになり、
そこへ一人の美しい女性が関わり、ドラマチックに話が展開していくものです。
その中で大変重要な鍵の一つが“メリュジーヌ”なのでした。
この青年と女性が詩人たちが生きた時代を検証する部分は大変読み応えがあり、
手ごたえを感じます。
そこへちょっとエンタメ的な要素も施されて、
筋だけ追っていてもなかなかスリリングでありました。
終盤にお気に入りの場面もあるのですが、
色々な要素を盛り込みすぎるような気もする本です。
ドラマチックというだけあって、
この作品は映画化もされています。
タイトルは同じ「抱擁」でニール・ラビュート監督 2002年の作品です。
設定は少し変えてありますし、
コンパクトにまとめてあるので、
本を読むのとはだいぶ違いますが、
若い女性を演じるグウィネス・パルトローも美しく、
(これは大切なポイントなのです)
雰囲気は十分に伝わってきます。
本と映画とをセットで楽しまれることを、
ぜひ、お勧めいたします。
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