2015年11月8日日曜日

「プルーストの世界を読む」

「プルーストの世界を読む」 吉川一義著 岩波セミナーブックス92


現在、刊行が続いている岩波文庫版「失われた時を求めて」の
翻訳が吉川一義さんです。
この「プルーストの世界を読む」は2004年の刊行です。
ずいぶん前になりますね。
この本はすぐに手に入れて、プルーストの世界に憧れるきっかけに
なりました。
プルーストの入門本として、とても優しく、わかりやすく、最適かと思われます。


目次を見てみましょう。


 第一章 序章「不眠の夜」
        「不眠の夜」の意味
        「不眠の夜」の成立過程
 第二章 「コンブレー」の構成
        シンメトリックな構成原理
        「悲しい夜」の匂いと音
        「街」の教会
 第三章 「スワン家のほう」と「ゲルマントのほう」
        ふたつの散歩道
        スワンの肖像
        ゲルマント公爵夫人の夢と現実
 第四章 芸術への道
        芸術家の人と作品
        文学の受容から創造へ
 第五章 比喩の魔力と根拠―サンザシの描写
        祭壇のサンザシ
        生け垣のサンザシ


ご覧いただいたように、第一巻を詳細に読み込んでいます。


これまでの研究成果を踏まえ、なぜこの文章が書かれ、
この位置に置かれているのか、までじっくりと読んでいくのです。


文章もとても柔らかで、ゆったりとしており、難解な部分も
解きほぐされていますから、読者も同じテンポでついていけるのです。


小説全体を知らないことには、わかりにくい難点もありますが、
読み通す前には、想像が膨らみ、読後には、納得させられ、と、
理解のしやすさが親しみやすさに繋がっていきます。


そういう意味で、この本が入門本に最適かと思われるのです。
内容の魅力は、とても私の力ではお伝えできかねます。
この本を読むだけで、堪能するだけのものを備えています。
是非、一読をおすすめいたします。


さて、この本のほかの関連本としては、
鈴木道彦さんの「プルーストを読む」を読みましたが、
これは以前にメモをupしたことがありますので、省略いたします。
また同じく鈴木道彦さんによる「マルセル・プルーストの誕生」は、
現在読書中というところです。
他にブラッサイの「プルースト/写真」という本があります。
これはまた改めてご紹介したいと思います。


もちろんプルーストの研究書は数多くあり、奥が深いことは
承知しておりますが、素人読書としてはこのあたりかと、
考えています。
「失われた時を求めて」を通読してみて、現状はこのとおりです。
ただ、この吉川一義さんの本を再読してみて、
吉川訳岩波文庫を読んでみたくなっていることは、確かです。
どうしようかしらん。

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