しばらく続けていた斜め読みを中断しまして、
ちょっと大切な日を節目にプルーストを再開しました。
「失われた時を求めて」第7巻“ソドムとゴモラⅠ”です。
読み始めてすぐに忘れかけていた反省の気持ちが蘇ってきました。
プルーストを読んでいると様々なことを教えられるわけですが、
そのうちの一つに、人は多面体であるということがあります。
あの屋敷ではたしかあのような態度だったのに、
こちらに夜会にくると親しくしてくる。
いったいこの人物は何を考えているのだろう・・・
ところから始まり、“私”は考えをめぐらします。
この“ソドムとゴモラ”では、公にはされない人間の持つ一面を、
こんこんと分析しています。
私は人並みのストレートなので、その心理はこの文章を読むだけですが、
分析に十分値するでしょう。
そして、それは人はただ一面を見るだけではわからないということです。
この作品では、“私”の考えることが大半を占めているので、
“私”=人がどのように思考をめぐらしているものかということも、
とても興味深いところです。
人間をひとつの例として取り上げることにより、
彫像を文章で作り上げているのです。
一度入り込むとなかなか出てくるのが困難な世界ですし、
長大なので、一年に二冊ずつのペースで読んでいますが、
ある意味とても退屈で、とても刺激的で、
進めていくのがもったいないような気持になる小説であります。
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