「一階でも二階でもない夜 回送電車Ⅱ」 堀江敏幸著 中公文庫
先日の“chef-d'oeuvre”という言葉が頭の中でもやもやとしていて、
散歩でもしながら、じっくりと考えてみたいと思ったりしています。
今回文庫本でゆっくり時間をかけて読めたせいか、
一冊の本がこれだけ豊穣なことを教えられました。
時間が経ってみると、堀江さんの渡仏時の話題も、
あの時のことかな、などと記憶とつき合わせたりもできたりして、
堀江さんにまつわる事象の知識がふくらんでいきます。
著者自身に関心があるというよりは、
堀江さんの紡ぎ出す言葉で形作られた世界が、
魅力的なのです。
純度が高く、栄養のある水を飲むことに似た読書には、
アルコールも少し含んでいるような酔いがあります。
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