2010年3月29日月曜日

映画 “とどめの一撃”

マルグリット・ユルスナール著「とどめの一撃」の映画を観ました。
“ブリキの太鼓”で知られるフォルカー・シュレンドルフが監督です。
1976年の作品です。

大筋は原作に沿っていますが、
微妙なニュアンスが違います。
配役も厳しいところがあります。
原作を意識していると、
どうしても反発してしまいます。
小さな違いが重なり、大きく反映して、
話の根本がずれてしまっています。

ですが、戦火の真っ只中、
兵士たちが駐屯する屋敷、
バルト海沿岸地方の冬の景色などは、
画面でみると、
リアルに感じられます。

一つの映画として鑑賞すればよいかもしれませんが、
原作を知らないと、
筋も、人間関係もさっぱりわからないかもしれません。

なにより、
ユルスナールが大切にしている部分が
描かれていないのが残念です。
その欠落が、原作との不一致を明らかにしています。

妙な位置づけの映画です。

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