「モロッコ革の本」 栃折久美子著 筑摩書房
本好きの方には、栃折さんのことをご存知の方も多いかと思われます。
装丁家として知られ、何冊か本と装丁に関する本を書かれています。
森有正さんとの交流についても一冊上梓されています。
この本を知ったのは、まだ十代のことでした。
とても興味深い人の話だと進められて、読んだのでした。
それから何回繰り返し読んだことでしょう。
とても個人的な打ち明け話のような面持ちのエッセイです。
ここには、本物の栃折久美子が誕生する瞬間が記されています。
自分自身を見出したそのときの喜びが詰まっています。
時々において読み返すと、その都度読み手側の視点も変化します。
幼い頃、明るい部分だけをさらっていましたが、
単に憧れを誘うだけにすぎませんでした。
今になって思うのは、素晴らしい経験を大切な時と認識できることが、
大切だということです。
過ぎ去ってしまってから気がつくのが、普通のこと。
今の自分をよく知り、状況を判断し、トライすること、
経験しながらも同時にその意味を理解すること。
いつになっても、遅くはないのです。
0 件のコメント:
コメントを投稿