2014年7月9日水曜日

ここしばらくの読書

ここのところ日本の現代文学をせっせと読んでおりました。
読みたい気持ちと偶然とが重なったせいでもあります。


「家守綺譚」 梨木香歩著 新潮文庫
  この本についてはご報告しましたね。
  偶然、父が読んでみようと言い、買ってきたのであります。


「海うそ」 梨木香歩著 岩波書店
  
   これも父が購入してきたもの。
   梨木さんの最新作です。
   これまでのファンタジー色が薄まり、リアリティが濃く出ています。
   どこをとっても読み応えがあり、梨木さんの特徴である自然描写と、
   主人公の心理がうまく絡み合っています。
   舞台設定、構成、筋もバランスが取れていて絶妙です。
   梨木さんの代表作となりそうに思われます。


「桐島、部活やめるってよ」 朝井リョウ著 集英社文庫
   初めてタイトルを書店で目にしたときには、あきれてしまったことを覚えています。
   そのうち、軽めのタイトルと内容がどうも違うらしいとわかり、
   堀江敏幸さんのゼミ生であった朝井さんについても関心が出て、
   読んでみたところ・・・とてもとても良い小説です。
   高校生たちが主人公なのですが、心理の掘り下げ、
   彼らを彩るまわりの描写、丁寧さ、著者の思い入れ、
   ほれぼれしながら読みました。


「星やどりの声」 朝井リョウ著 角川文庫
   続いて文庫化された朝井さんの作品ですが、
   これは、かなり工夫とテストを兼ねて書かれたように感じられます。
   ところどころほころびがありますし、クローズアップに失敗か・・・と
   思わされる部分もあります。
   が、これらはこの先に繋がる挑戦ではないかとも思うのです。
   そういう意味では、かなりの意欲作でしょう。
   解説は堀江敏幸さんで、この本と著者について注意すべき点を、
   丁寧に読みほどいておられます。


「星間商事株式会社社史編纂室」 三浦しをん著 ちくま文庫
   三浦さんは先日読んだ「女子漂流」で、どういう方か少しわかるような気がしたので、
   再トライです。
   以前「まほろ駅前多田便利軒」でついていけなかったことがあったのです。
   こちらは、ある会社の女子を中心とした物語で、
   実は、星間商事には隠された過去がある・・・という面白い展開を成しています。
   それと、主人公たちのキャラクター設定のうまさ、
   心理の掘り下げはほどよく、と数多くの作品を生み出している三浦さんならではの
   うまさが光ります。
   素直に“面白かった!”と言って、女子をうたう方にお勧めいたします。


ここのところはこんなところですが、
この上にもう一人の若手の本を読みかけです。
「だから日本はズレている」 古市憲寿著 新潮新書
著者のことは気になっていましたし、
一冊軽めの本を読んでみようかな、と思ったのです。
どのように受け止められるかは、読了してからのお楽しみです。


さくさくと読める本を、面白い、と言って読んでばかりいると、
今度は、じわーっとした本が読みたくなってくる。
食欲と似ていますね。

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