“トーマス・マンの作品のすべてには、海のざわめき、海のどよめきが聞こえ、・・・”と
訳者解説にあります。
この作品では具体的にトラーヴェ川の河口に広がる、トラーヴェミュンデという海岸が
たびたび登場します。
ブッデンブローグ家四代のお話の中で、最も幸福な一時代、
トラーヴェミュンデを訪ねたトーニの爽やかな青春の日々のあたりを読んでいると、
夏の日の海辺に立っているような気分になります。
ただ、トーマス・マンは容赦なくトーニに厳しい選択をさせることになりますが。
リューベックとトラーヴェミュンデに行ってみたい。
この小説を読んだ人はそう思うでしょう。
この小説のモデルとなったところを実際肌で感じてみたい。
それほど、この小説は描写的でドラマチックです。
デカダンスの香りの漂う、ユーモアもぴりりと効いた、
律儀さを感じられるこの作品を読み、
小説という形態の本を楽しむようになりました。
そういう意味で記念碑的な一冊です。
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