2009年8月24日月曜日

「黒いハンカチ」

「黒いハンカチ」 小沼丹著 創元推理文庫

読んじゃいました、「黒いハンカチ」。
ニシ・アズマ女史の小柄で愛嬌のある顔立ちが、
なんともユーモラスで、
つつましげなのに、行動力もあり、
赤いロイド眼鏡をかけ、
“みなが見過ごしている些細なことがらに眼をとめて、
かすかな違和感を胸のうちに収め”、(堀江敏幸さんによる)
次々と難問を解決していきます。

始めのうちは少々退屈に感じたのですが、
読むうちに、時代を遡ることができて、
昭和30年代ごろの淑やかな女性たちの登場する
ノスタルジックな雰囲気を楽しむことができるようになりました。
ニシ・アズマ女史ともう少しで仲良くなれそうなところで、
終わりがきて、ちょっと残念です。

ニシ・アズマ女史の東屋は校舎の3階、
屋根裏のそのちっぽけな窓から遠くに海がみえる、とあります。
かつて、同じように窓から遠く、
海がきらきらと光って見える部屋に住んでいたことがありました。
懐かしいその頃のことを思い出して、なおさら親しみを覚えます。
哀しみを想う気持ちこそ違うけれども。

小沼丹の長編「風光る丘」を読みきれなかったことがあり、
少々心配だったのですが、
これで大丈夫、
「村のエトランジェ」も読んでみたいと思います。

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