2009年12月31日木曜日

2009年の大晦日

今年も大晦日となりました。
こういう締めくくりの日が無いとしたら、
ずっと単調な日々となるでしょう。

今日からまた寒波が到来、
すごい突風が吹いています。
風とともに冷たい空気が入ってくるのでしょう。
今夜は冷え込んで、
冬日のお正月を迎えます。

あっという間だった今年を振り返っている方も多いでしょうね。
今年はどんな年だったかな?

新しい部署に異動してきて、
てんてこ舞い、
最後の最後まで、
失敗続きでした。
仕事だけでなく、立場も変わったことを、
しみじみ感じます。

個人的には、
長年悩まされてきた体調不良が、
だいぶ安定してきたことが最も喜ばしいことです。
読書はユルスナールとシモーヌ・ヴェイユに取り掛かれたことが
嬉しいこと。
やりたかった作業や勉強は手付かずのままなので、
これが来年の課題です。
そして、読む本をもっと絞り込むことに
注意を払いたいと考えています。
冊数は減っていいから、
もっと良書に触れていきたいです。

もう一つ、
生活をもっとシンプルにしていきたい。
具体的には、
必需品も含めて買い物を減らしたいです。
少ないもので快適に暮らしていけるように。
身の丈に応じたスタイルを作っていきたいです。

このブログを読んでくださっている方は
大変少ないと思われますが、
そのわずかな方々の来年のご幸福を願って、
今年を終えたいと思います。

2009年12月30日水曜日

いててっ☆

この年の暮れに右手が腱鞘炎です。
おだんごみたいにぷくんと腫れて、
熱を持っています。
利き手なので、なんにもできません。
用事がたくさんあるのに。

仕方が無いので、
今日はゆっくりとさせていただきました。
昼寝までしてしまった。

明日は大晦日。
どうしてもしておきたいことだけ、
片付けることにします。
お正月には治まっていることでしょう。

2009年12月29日火曜日

ipod nanoがやって来た

ipod miniちゃんのバッテリーがついにやられてしまいました。
たっぷり充電してもすぐに切れてしまいます。
あえなく断念。
お疲れ様でした。

音楽無しではいられないので、
早速、nano君を我が家へ迎い入れました。

OSのアップデート、
itunesのダウンロード、
インストール。
miniの時のプログラムが邪魔をして、
難儀しましたが、
ようやく使える状態になりました。

カラーで明るいし、
FMラジオも聴けてしまう、
スゴイやつ。
これからよろしく頼みます。

2009年12月28日月曜日

仕事納め

るんるん♪ 今日で今年は店じまい。

と、言う割には朝から忙しいのですが。
端からお仕事を片付けていって、
すっきりと年を越したいと思います。
宿題もあるので、
お家でちょっとデータとにらめっこしなければ。

毎年のことながら、
仕事納めというのは、
気分のいいものです。
一区切りなので、
無理なものは持ち越しも可能だし、
まずは心の中で一段落。

明日からはお家の一年の締めくくりをしたいと思います。

2009年12月27日日曜日

「家を出た日」

「家を出た日」 米田紘輔著 文芸社

まだ二十歳の青年が、
中学生の頃のことを振り返った本です。
文章は繊細で、
細やかな心理描写を綴っています。
中学生という年代は、
まだ大人の入り口に立っている頃、
子供らしい瑞々しさを持っている頃です。
そういった純粋さをこの著者は
そのままパッキングして描いています。

厳しくみれば、
文章を書くにあたっての、
弱さや自己陶酔などが見られ、
幼さの残る内容です。
が、純粋さを失わずに、
この繊細な文章力を活かし、
書きついでいくことで、
さらに成長されると思われます。

著者は、
知り合いの知り合いという関係の方で、
偶然のご縁があって読ませていただきました。
これから伸びていかれる作家だと期待しています。

2009年12月26日土曜日

“メリュジーヌ物語” と 「抱擁」

1月の岩波書店PR誌「図書」の表紙は、
“L'HISTOIRE DE MELUSINE”1699年刊行の本です。
宮下志朗さんが“メリュジーヌ物語”のあらすじと、
この本がどのように広がっていったのかを解説しています。

“メリュジーヌ物語”はフランス版“ヘビ女房”というところで、
美しい妻は実は・・・であった、その正体を知られてしまった時、
空を舞って去ってゆく、という話です。

この“メリュジーヌ”という名前を見て思い出したのは、
「抱擁」 A.S.バイアット著 新潮文庫 です。
バイアットは、「碾臼」で知られるマーガレット・ドラブルの姉にあたり、
この作品でブッカー賞も受賞しました。

この「抱擁」という作品は、
ある詩人を研究する青年が思いがけない発見から謎解きを始めることになり、
そこへ一人の美しい女性が関わり、ドラマチックに話が展開していくものです。
その中で大変重要な鍵の一つが“メリュジーヌ”なのでした。
この青年と女性が詩人たちが生きた時代を検証する部分は大変読み応えがあり、
手ごたえを感じます。
そこへちょっとエンタメ的な要素も施されて、
筋だけ追っていてもなかなかスリリングでありました。
終盤にお気に入りの場面もあるのですが、
色々な要素を盛り込みすぎるような気もする本です。

ドラマチックというだけあって、
この作品は映画化もされています。
タイトルは同じ「抱擁」でニール・ラビュート監督 2002年の作品です。
設定は少し変えてありますし、
コンパクトにまとめてあるので、
本を読むのとはだいぶ違いますが、
若い女性を演じるグウィネス・パルトローも美しく、
(これは大切なポイントなのです)
雰囲気は十分に伝わってきます。

本と映画とをセットで楽しまれることを、
ぜひ、お勧めいたします。

2009年12月25日金曜日

駆け足で本屋さんへ

暮はぱたぱた忙しい。
街に出ると人も多くて、
間を縫って急ぎ足。
それでも本屋さんへはどうしても行かねばならぬ。

駆け足でジュンク堂へ向かい、
一冊だけ買ってきました。

「一階でも二階でもない夜 回送電車Ⅱ」
堀江敏幸著 中公文庫。

読んだ先からすぐ内容を忘れるので、
また新鮮な気持ちで読むことができます。

今は電車に長く乗ることも少ないので、
週日はあまり読書タイムが取れません。
休日のお昼寝タイムを削らなくっちゃ。

2009年12月24日木曜日

80年代、90年代の「マリ・クレール」

日経新聞の夕刊に掲載されているプロムナード、
この欄でここしばらく海野弘さんが執筆されています。

今日は「ある雑誌と編集者の思い出」というタイトルで、
80年代、90年代の「マリ・クレール」と、
その名編集者安原顯さんについて語っておられます。

ほんとうにあの頃の「マリ・クレール」は素晴らしかった。
読んでいた当時は編集長の安原さんのことは知りませんでしたが、
自分にとっては完璧な雑誌でした。

「マリ・クレール」で池澤夏樹さん“エデンの東の対話”を知り、
鷲田清一さん“モードの迷宮”を知りました。
淀川長張治さんと山田宏一さんと蓮見重彦さんの
対談“映画千夜一夜”をせっせと読みました。
小川洋子さんもそこで読みましたし、
もちろん海野さんも読んでいたのです。

海野さんのことは「花椿」資生堂PR誌 で
よく読ませていただいていましたが、
「マリ・クレール」にも欠かせない執筆者だったのです。

仏版と提携したファッションのページも美しく、
今考えると、豪奢でした。

あの時はまだ若くて、
先のことは全くわからなくて、
この雑誌が消えてしまうなんて考えもしませんでした。

安原さんが亡くなるとともに、
「海」も「マリ・クレール」も伝説となって、
語り継がれるようになりました。

景気がよくなることだけでなく、
社会が成熟した成果として、
再びあのような雑誌が世に現れて欲しいと
思いながら月日は経っていくばかりです。

2009年12月23日水曜日

毎日新聞の2009年「この3冊」から

年末になると、
各紙で今年を振り返る企画がありますが、
今年は毎日新聞の書評に気になる本がたくさんありました。

18人もの書評者が今年の3冊を選んでいます。
面白そうな本が並んでいます。

養老孟司氏が選んだ3冊のうち、
「日本辺境論」内田樹著 新潮新書
 油断のできない、骨太な日本論とあります。ふむ。

山内昌之氏が選んだ3冊の内1冊、
「近代フランスの歴史学と歴史家」渡辺和行著 ミネルヴァ書房
 フランス史の研究者の力作。
 難しいそうだが、ちょっと見てみたい。

持田叙子氏が選ぶ1冊、
「若い藝術家の肖像」ジェイムズ・ジョイス著 丸谷才一訳 集英社
 この新訳については池澤夏樹氏も多く紙面を割いています。
 ジョイスが読めるかも?

沼野充義氏の選ぶ1冊、
「庭、灰」ダニロ・キシュ著 山崎佳代子訳 河出書房新社
 セルビアのハンガリー系ユダヤ人作家の初期の代表作だそうです。
 “魔法の鏡のような作品”というところに目が止まります。

堀江敏幸氏が選ぶ3冊、
「世界は分けてもわからない」福岡伸一著 講談社現代新書
 現在とても注目されている研究者の本ですが、
 分野が違いすぎると思っていました。
 一度読んでみようかな。
「人生の色気」古井由吉著 新潮社
 古井氏の文章は著者の思い入れが深く感じられて、
 なかなか着いていけなかったことがあります。
 相性というものがありますが、
 もう一度会いに行ってみようかな。
「ペトロニーユと120ぴきのこどもたち」
 クロード・ポンティ著 やまわきゆりこ訳 福音館書店
 これは児童文学ですね。福音館の本だし、
 きっと素敵な本なのでしょう。気になります。

さあ、暮れに本屋さんへ出かけましょう。

2009年12月22日火曜日

待ちに待った冬至です

今日は冬至。
冷たくて、少しだけ陽が差した冬の一日でした。

今日はしっかり日の出と日の入りを確認しようと思っていました。

朝7時、まだ太陽は屋根に隠れています。
少々薄暗い感じです。

午前10時、南のとても低い位置に太陽を確認しました。
雲が押し寄せてきて、ちょっとみぞれが散らつきます。

午後4時半、外に出てみると、もう太陽は山に隠れてしまっていました。
いくら冬至といっても早すぎるわい。

午後5時にすっかり暗くなってしまうと、
もう一日が終わってしまったような気がしました。

寒いのが苦手だからか、
陽が短いのは落ち着きません。
早くお家に帰って、ゆっくり夜を過ごしたくなります。
そんな人には冬至は大きな節目です。

時は確実に過ぎてゆきます。
時が流れてゆく感覚を身体で感じながら、
生きてゆくことができればいいですね。

2009年12月21日月曜日

大寒波

先週の木曜日から、
冬型の気圧配置となっていました。
北日本、日本海側は大雪だったそうですね。
山間部以外は雪の積もらない地方も、
大変冷え込みました。

風も強く、冷たく、ゴーゴーと吹いて、
音だけでもたまらないので、
隠れしのんでいました。

欧州やアメリカ東部も
寒波に襲われているようです。

現代では気候を考慮せずに生活することも多いですし、
仕事はいつだって待ってくれません。
適温にして生活することが普通になっています。
その適温にするためには、
犠牲になっていることもたくさんあるのでした。

自然と調和した生活って難しい。
温暖化をもたらす人工的な生活に
どうしようもなく頼ってしまうのでした。

2009年12月20日日曜日

「空間の旅・時間の旅」その③

「空間の旅・時間の旅」マルグリット・ユルスナール著

3つ目は
「ああ、わたしのお城、きれいなお城」 北代美和子訳

ここでいうお城とは、パリから南西に行ったロワール河近郊の
シュノンソー城を指しています。

ルネッサンス期に形を整え始めた
シュノンソーは幾人かの女性を中心として、
多難な歴史を積み重ねてきたようです。
ユルスナールはシュノンソーを彩った様々な出来事、
歴史的事実や逸話を積み重ねてゆきます。
もう伝説化してしまった古い過去が、
この城に刻み込まれているのです。
時代とともに、城の役割は変化してゆき、
フローベールが訪れたころには、
観光の対象として落ち着いていました。

城が見つめてきた歴史を作ってきたのは、
史実に名を残している人々だけではありません。
菜園、庭、森を維持管理してきた人々、
城の中で名のある者に使えてきた人々、
多くの人間がその歴史を支えてきたのです。
そして、人のみならず、様々な動植物も
城を取り巻く環境を育んできました。
そのあたりにも目を配り、
物語を読み取るユルスナールの洞察力と配慮が
この文章を締めくくっています。

筋があるわけでもないこの文章は
少々読みにくかったのですが、
ユルスナールが一年以上かけて下調べをし、
成したこのエッセイに納得するところもありました。
ユルスナール調になると、
史実と作者の意図が錯綜し、
音色を聞き取りにくくなるようにも思えます。

この「ああ、わたしのお城、きれいなお城」の原題は、
“Ah, mon beau Chateau”ですが、
童謡のような邦題は、
少々内容とは一致しないような気がします。

2009年12月19日土曜日

同窓会

先日は忘年会ならぬ同窓会がありました。

同窓会といっても学校のではありません。
勤め先のもう無くなってしまった部署のメンバーで
集ったのです。

久しぶりに皆が顔を揃え、
懐かしい雰囲気が戻ってきます。

一気に杯が空けられて、
笑い声に包まれます。

小人数で個人的に会うのとは違った
晴れやかで和やかなひと時に、
こういう集まりってなかなか無いものだと、
改めて思ったのでした。

幹事を務めていたので、
気を揉んだりもしましたが、
皆が楽しんでいる様子を見ているうちに
少しずつ酔いに揺らいで
輪郭がぼやけ、自分もその中に入ってゆきました。

2009年12月18日金曜日

洋雑誌

近頃関西では洋雑誌が手に入りにくくなりました。
以前はよく丸善の大阪支店の2階で、
パラパラと内容をチェックしたり、
何冊かを比べてみたりして、
見る楽しみと比較する楽しみがありましたが、
その丸善も関西から姿を消し、
既にリブロも無く、
店頭で見る事ができる書店は、
紀伊国屋ぐらいになってしまいました。

もちろん雑誌にもよりますし、
ネットで頼むこともできますが、
やはり内容を確認したいのです。

好んで購入していたのは、
“Marie Claire Maison”
  旅行に出かけた気分になれる、
  お洒落なインテリアや、
  風景の写真が素敵ですね。

“Marie Claire Idee”
  手作りの温かみだけでなく、
  センスの良さが秀逸です。
  
“Cote Ouest”
  写真、レイアウト、活字・・・すべてが美しい雑誌です。
  ほれぼれとしてしまいます。

旅行に出かけるかわりに、
これらの雑誌のページを捲りたいです。

2009年12月17日木曜日

ほろにがカラメル・オ・レ

夕方頃になるとあまーいものを口にしたくなります。
あまーいお菓子、
あまーい飲み物。
だから体型はコロコロしたままです。

ただいまのお気に入りは、
キリンの世界のキッチンからシリーズの
“ほろにがカラメル・オ・レ”。
甘さと苦さと塩味が濃くて、
青菜に塩みたいにとろけてしまいます。

仕事をがんばったご褒美などと言っていますが、
この甘さを続けていくと、
とんでもないことになりそうです。
これ以上コロコロになると服が入りません!

2009年12月16日水曜日

スガシカオの今年のbest3

FM802をよく聴いています。
朝、目覚まし代わりに、
休みの日にBGMとして。
近頃は好きなタイプの曲をかけてくれる番組も少なくなって、
少々寂しいのですが、
思いがけないことに出会うこともあります。

その時もぼんやりと聴いていたのですが、
偶然、
“スガシカオが選ぶ今年の新人best3”と
アナウンスされました。
これはラッキーだと、耳を澄ませます。

3位はさかいゆう、
2位はLaura Izibor
1位はサカナクション

なるほど、というチョイスですね。
サカナクションはきちんと聴いたことがないのですが、
ここでかかった「白波トップウォーター」はとても好みです。
よし、次はこれを買いにいこう!

不思議と、女性より男性の歌声の方が好きなことが多いです。
声のトーンが低いからでしょうか、押しがあまり強くない方が、落ち着きます。

2009年12月15日火曜日

“Der Himmel uber Berlin”

「ベルリン 天使の詩」 ヴィム・ヴェンダース監督

この美しい映画を何回観たことでしょう。
公開された時、毎週一回映画館に通いました。

モノクロの画面の美しさ。
童謡が流れる中、
万年筆で白いページにさらさらと横文字が書かれていきます。
天使たちは、証言者として記憶するだけでなく、
文字にも置き換えているのです。

視点は飛行中のジェット機の中の天使から、
空中へと移り、そして地上へと舞い降りていきます。
そのまなざしの優しいこと。
天使たちは、人々を見守っているのです。

子供は大人と違って、天使を認識できるらしく、
その差は純粋さによるものかと推測しましたが、
他に要因はあるのでしょうか。

主人公の天使ダミアンは、
長い間人間の世界を見つめてきましたが、
ブランコ乗りの女性に恋をして、
人間になる決心をします。
そして彼が人間として生まれ変わった時から、
画面は総天然色に切り替わります。

人間の社会に少しずつ歩を進め、
喜びとともに馴染んでゆく姿は、
生を受けた者としての
忘れかけていた感覚を揺り動かします。

幸福感に満ちたカラーの画面。

だのに、なぜだか天使のモノクロの画面に惹かれます。
俯瞰するという視点のあり方、
静けさに満ちた精神状態は確かに天使。
天使たちが集う図書館のシーンは、
印象深いものです。

好きなシーンを思い出し、
この作品を振り返ってみるとき、
ヴェンダースの他の作品と大きく違ってみえます。
この作品の格調を高めているのは、
アンリ・アルカンによるカメラワークと
ペーター・ハントケによる脚本だと思われます。
老ホメロス役のクルト・ボイスの存在も大きいでしょう。
実際、続編も作成されましたが、
平凡な内容となっていました。

冒頭のノートをつけるシーンを観てから、
万年筆で書くということに、
憧れをもつようになりました。
アルファベットではなく、
日本語ですが。

2009年12月14日月曜日

しましま

“しましま”こと“ボーダー”が大好きです。

白地に水色も軽やかで爽やかだし、
白地に紺色もベーシックな落ち着きがあるし、
紺地に白色もシックでお気に入り。
基本はこの3パターンです。

agnés.bの細いボーダー、太いボーダー、
Saint Jamesのナバルにバスク、
Le minorにOrcivalと次々に制覇。
最近はSmedreyとSunspelをよく着ています。

ほんとはあまり似合わないのだけど、
“しましま”を選ぶ日はとても楽しいのです。
はい、職場にも堂々と着て出勤しております。
いいのか、おい?

2009年12月13日日曜日

「空間の旅・時間の旅」その②

「空間の旅・時間の旅」 マルグリット・ユルスナール著 岩崎力編 白水社

二つ目のエッセイは「歴史小説における口調と言葉」小倉孝誠訳 です。

読み出して、なんでこんなに難解な表現なんだろう、と戸惑いました。
一度通読しただけでは、やはり混乱してしまいました。
で、再度、じっくり読んでみます。

発話の表現について、小説ではどのように書かれてきたのか。
また文学において、どのような意味合いがあったか。
まず、ユルスナールは考察しています。

そう言われてみれば、翻訳小説を読んでいるのでなお更なのか、
あまり考えてみたことが無いことでした。
ところが、ユルスナールの言うようにこれは大変重要なことなのです。

「ハドリアヌス帝の回想」を丁寧に読んでいないので、
この作品についての表現方法については、
ユルスナールの考えをなぞるだけです。

「黒の過程」についても、様々な努力と工夫があったようです。
ユルスナールはこの作品の舞台が16世紀であることを十分に考慮し、
その中で生きている者たちに矛盾が無いよう細心の注意を払っています。
確かに「再洗礼派」や「カトリック」などの宗派についての標記は一様でなく、
読書中にも、きっと意味があるのだろうと、確認しながらページを繰りましたが、
ここまでの配慮があるとは、奥が深いです。

このエッセイの中で述べられていることは、
もう研究の対象に近いように思われますが、
書くことの困難さだけでなく、
愉楽に満ちた感覚を伴っているようにも感じられます。
ユルスナールの表記表現における工夫を考慮しつつ再読すること、
ますます、読む楽しみが増えました。

2009年12月12日土曜日

「春美・クロソフスカ・ド・ローラと歩くパリ」



「春美・クロソフスカ・ド・ローラと歩くパリ」 
 春美・クロソフスカ・ド・ローラ著 朝日新聞出版

春美さんは画家バルテュスのお嬢さんです。
10数年前、ジュエリーデザイナーとして雑誌で見かけて以来、
春美さんに惹かれるようになりました。

もともとバルテュスの作品は大変好きなので、
このバルテュスと春美さん、バルテュスの奥様の節子さんご一家に
自然と関心を寄せるようになりました。

バルテュスが亡くなって以来、
節子さんの著書などで、その美しく豊かな生活に触れる機会がありますが、
春美さんご自身のことはあまり知らないままでした。

この本で春美さんがこれまでの人生を振り返られているのを読み、
バルテュスご夫妻のことも含め、
色々と知ることができました。

パリ案内のページはもう少し個人的な思い入れなど含めた内容で
あればよかったと思われますが、
バルテュス一家に関心がある人には、
とても嬉しい一冊です。

2009年12月11日金曜日

FRENCH BLOOM NET-INFOBASE

昨今色々なブログが溢れかえっていますが、
(ここも同じくですね)
フランス好きにぴったりブログを発見しました。

“FRENCH BLOOM NET-INFOBASE”です。
http://cyberbloom.seesaa.net/category/1195198-1.html

フランス語を学ぶ人を対象にフランス関連情報が掲載されています。
フランスに関心のある人には、
政治から文化、ポップカルチャーまで網羅されているので、
読み応え充分、楽しませていただけます。
数人で運営されているのも、
視点に変化があるので、面白いところです。
ぜひ一度チェックしてみてくださいね。

2009年12月10日木曜日

Sunspel

サンスペルのTシャツをお召しになったことがありますか?
もともとは男性用の肌着だそうです。
薄くて、軽くて、
直接肌につけるものだからか、
とっても肌触りがさっぱり、しなやか。
一度身に着けるとやみつきになります。

発色もイギリスのものらしくシックで、
服との組み合わせもしっくりなじみます。

着心地がいいことと、
好みの色が多いので、
半袖、7分袖、タートルネックと、
どんどん数が増えていきます。
今年は薄いパープルのタートルが仲間入りしました。

2009年12月9日水曜日

「エセー2」が届きました

白水社に発注していた本がやってきました。

「エセー2」 モンテーニュ著 宮下志朗訳
「フランス中世歴史散歩」 レジーヌ・ペルヌー、ジョルジュ・ペルヌー著 福本秀子訳
「眠られぬ夜のために」 カール・ヒルティ著 小池辰雄編

ヒルティは難しそうなのですが、
こういう落ち着いた内容の本が読みたくなるようになりました。
少し大きめのひき茶色の綺麗な本で、心が休まるような感じがします。
ゆっくり少しずつ読んでいきたいと思います。

モンテーニュはいつかがっちり読もうと企んでいます。
宮下さんの新訳で読みやすいということですし、
どこまでついていけるでしょうか。

ペルヌーの中世史研究は定評があるそうなのですが、
読むのはこれが始めてです。
歴史の本はとても好きなので、期待しています。

2009年12月8日火曜日

「Sonya's Shopping Manual」

「ソニアのショッピングマニュアルⅢ」 ソニア・パーク著 マガジンハウス

スタイリストのソニア・パークさんの選球眼は素晴らしいセンスです。
Ⅰ、Ⅱに続いてⅢには202番から301番の101点が選び抜かれています。

こんな素敵なものがあるんだ、
こんなお洒落なものもあるんだ、
と世界の数々の名品に唸らせられます。
ごくたまに共通のものもあったりして、
ちょっと嬉しかったりします。

このシリーズを眺めていると、
自分のオリジナルショッピングマニュアルを作りたくなってきます。
もっとも、貧素な内容にきまっているのですが、もしかしたら、
このブログ自体、そういう傾向があるかもしれません。

2009年12月7日月曜日

「空間の旅・時間の旅」その①

少々早いですが、
今年の締めの読書として、
やはりユルスナールを持ってきました。
「空間の旅・時間の旅」です。
またまた少しずつ読んでまいります。

この本には、
ユルスナールが書いた50篇以上のエッセー、評論から
岩崎力さんが選んだ13編が収められています。

今日読んだのは「『皇帝列伝』における歴史の相貌」。
まず『皇帝列伝』というローマ皇帝を描いた本があるということ。
その本は6人の歴史家が書いたものだということ。
これを、前半部分では、信憑性が疑わしい、書き手が凡庸だ、などと
かなり辛らつな批判をしています。
読み続けるうちに、ではなぜこの『皇帝列伝』について言及しようと
しているのかという疑問が浮かんできます。

後半部分でこの『皇帝列伝』の持つ特徴から、
他には見られない、人々を魅了する表現世界があることや、
現在確認できる芸術品や建造物を通して過去を遡れること、
心理的な真実が感じられること、など長所も挙げられています。
そして最も重要なのは、
『皇帝列伝』の書かれ方ひとつ取り上げてもわかるように、
“われわれ自身の文明・・・そして未来がそれについてどう考えるか
を判断するさいにわれわれは近視眼的になる。”と述べ、
歴史を学ぶ重要性がここに見られることを、
具体的例を示して現代の読者を諌めています。

と簡単にまとめたところで、
ユルスナールの良さがわかるわけではありません。
ユルスナールの文章に酔うことができ、
またそこから学ぶことができる、
小説とは異なった力を持った評論です。

2009年12月6日日曜日

COLDPLAY

COLDPLAY、
アルバム「X&Y」までの3枚をずっと続けて聴いていると、
あの内向的な曲調に気持ちが休まるとともに、
気分までトーンダウンしてしまうのに気がついて、
ちょっとお休みをしていました。

そこへ「Viva La Vida」の更なる大成功。
ラジオからも頻繁に流れてきて、
やっぱり、いいなあと復活。
着メロまでセットしてしまいました。

昔ミュージシャン達に入れあげたほどにはなりませんが、
ちょっとミーハーな気分で楽しんでいます。
好きなのは“In My Place”かな。

2009年12月5日土曜日

あいたたっ☆

なぜだか理由はわかりません。
膝が痛みます。
右膝の時もあれば、
左の時もあります。
同じような痛みです。
あるサイクルで嵐のようにやってきます。
お医者さんは
検査をしても異常は無いから、
湿布と痛み止めの薬しか対処しようがありませんと
おっしゃいます。
でも、つらいのです。

もうひとつ、頻繁に起きるのが、
腱鞘炎。
ちょっと重い荷物だけで、
すぐ痛み出します。
利き手の時はもう情けない状態。

筋力をつけて、
カバーする方法がありますが、
こんな運動音痴でもできますか?

2009年12月4日金曜日

「アメリカの鳥」

「アメリカの鳥」 メアリー・マッカーシー著 中野恵津子訳 
河出書房新社 世界文学全集Ⅱ-04

ようやく読み終えました。
振り返ってみれば、そう難しい話ではありません。
ただ隙がない文体なので、
きっちり読まされてしまうところがあります。

ピーター・リーヴァイはとても繊細な感覚の持ち主。
半分ユダヤ人でアメリカ生まれのアメリカ育ち。
母親は音楽家で古風なアメリカ文化をこよなく愛する人。
実父は学者、二人の養父も学者。
恵まれた環境でとても愛され、大切にされて育ったピーターです。

移り行く時代の中において、
疑問を呈し、抵抗し、生きる姿勢を模索するピーター。
フランスへ留学すると、
更に困難な問題が目の前に現れます。

悩めるピーターの姿は
誰しもが覚えがあるものでしょう。
もう19歳ともなれば、
悪態をついてひっくり返ることもできないし、
どうやって生きていくか具体的に考えるしかありません。
ピーターの立派なところは、
決して人のせいにはしないことと、
人を頼らないところです。

それは彼の座右の銘
「他者は常に究極の目的である・・・汝の行動原則」
カントの定言を記した紙が彼の財布に常に入っているからです。

その言葉を基本において考え、話し、決定し、行動する。
成長の芽が現れていく過程は、
彼のその後の姿を想像するのが嬉しく思わされます。

時代背景がきっちりと組み込まれているところも、
政治や環境問題、人種問題等と
私たちが密接に関わっていることを知らされる部分です。

総合的にみてこの本は、
ホールデンの世界で一度立ち止まった人に、
次の一歩のための本となるでしょう。

いまだにフラニーのことが忘れられない人にも。

2009年12月3日木曜日

霧にけむる丘陵

昨夜は満月が映える美しい夜空でしたが、
今日は一日小雨が降り続く灰色の空でした。

離れた山々は白く雲がかかって、
手前の紅葉している峰しか見えません。

振り返って丘陵を眺めれば、
霧がけむって
滑らかに流れていくのが見えます。
こちらも紅葉に彩られた丘が、
白さに映えて美しく、
雨の日もそれなりによいものだと
ひとりで眺めていました。

忙しさの中のひと時、
そういえば、紅葉を愛でることはあまりないことでした。

2009年12月2日水曜日

「ボルドーの義兄」

「ボルドーの義兄」 多和田葉子著 講談社

多和田葉子さんの新作は
さらに驚きと困惑を秘めてやってきました。

主人公の優奈はハンブルグに暮らす学生で、
年は20代半ばとあります。
彼女が見たこと、感じたこと、考えたこと、
彼女を取り巻く事項について、
小さなまとまりをもって語られています。

その小さなまとまりには、
章のタイトルとして、
漢字一文字が選ばれ、
さらに裏返しにした状態で印字されています。
これは一体何?
優奈にしか説明できないことです。

その漢字を眺め、意味を考えながら読んでみると、
内容はとてもシンプルで、
優奈にとってのその漢字の意味が読み取れます。

解釈の方法はいくつでもあるでしょうが、
簡単にできるのは、
自分のケースと置き換えてみることです。

この作品の刺激的な形態や内容に触れてみて、
万人が物語ることが可能なことを思い出し、
面白いと始めて感じました。

優奈という女性とは、繋がりが持てなかったので、
作品の内部まで降りていくことは出来ませんでした。

2009年12月1日火曜日

キャパオーバーの日

小さなお椀ほどの余裕しか持っておりません。
ゆえに日頃からすぐにキャパオーバーしてしまいます。

新しい部署へ来て半年経ちました。
毎日多くの発見があり、
学ぶことばかりです。
一人でこつこつとする仕事の方が、
どちらかといえば進めやすいのですが、
仕事柄そういうわけにもいかず、
右に左に、電話に後ろのドアに、
振り回されてしまっています。
当然早とちりやミスを起こしてしまいますが、
どうにか日々を送っています。

今日はそういう中でも振り幅が大きい一日でした。
めまぐるしくやってくる波に乗り切ろうとして、
失敗を何回も繰り返して、ようやく、
キャパを超えていることに気がつきました。

急がなければならなくて、
慌ててこなしたところで、
自分の中で咀嚼できていない仕事は
全うな姿として出来上がらないのです。

状況を踏まえたコントロールが出来ない未熟さに
問題があります。

少しずつ見えてきた現在の仕事を、
自分を見失わずに、
内容と量と質と時間を考慮し、
調整しながら、進めてゆくこと。
今頃になって、そんな基本的な課題が浮かび上がってきました。