2011年9月28日水曜日

気分は上々、現実は低迷

秋らしくなってきましたね。
日中は半そでで過ごせるくらい暑いですが。
朝夕はほっとします。
夜は再びフクロウの声が聞こえるようになりました。
“ホッホー・・・ホッホッ”

職場で育てているラベンダーも随時花を咲かせてくれて、
家のあちらこちらに収穫した紫の花が置かれています。
こちらもそろそろ終わりでしょうか。
来年の春にまた復活してくれることを祈って冬支度です。

おかげさまで精神的には落ち着いていますし、
体調もまずまずというところです。

しかしながら、仕事が詰まってきました。
職場は50名ほどのこじんまりとした出先なのですが、
12月にまるごと引っ越しをすることが決まりました。
これから仕訳と片付けと箱詰めが始まります。
ルーティン業務に引っ越し業務がプラスされるのは、
気が重い。
何から手をつけるのだろう。

じっくり本を読む余裕が失われそうな、
少々不安であります。

2011年9月25日日曜日

9月の本読み

ここ2,3日は過ごしやすい秋の日よりになりました。
暑い夏をやり過ごして、ちょっとほっとした気分です。

9月は順調にページが進み、
9冊近くの本を読むことができました。
だいたい1か月に1冊素晴らしい本に巡り合えれば上々だと思っています。
読むのがゆっくりなので、これで十分です。
今月は久々のミステリが良かったかな。

「失われた時を求めて」第2巻は少しずつ進めているところで、
年内に読み上げればそれでよし。

他には溜まっているエッセイなどの山を崩していくこと。

ヘンリー・ジェイムズも一冊手元にあるのを今年中に読みたい。
「ある婦人の肖像」を再読するのは来年になりそう。

難問はいつまで経っても哲学系の本と美術史関連の本に手をつけられないこと。
これは一生言い続けるかもしれません。

年末にはユルスナールの「世界の迷路」第2巻が出る予定だし。
読むだけで忙しい日々でありました。

2011年9月24日土曜日

「不思議の国のアリス」

「不思議の国のアリス」 ルイス・キャロル著 河合祥一郎訳 角川文庫

“黄金の 光輝く 昼下がり、
  われら ゆっくり 川くだり。
 オールを握るは 小さな腕、
  力を出せとは ないものねだり、
 幼いおててが ひらりとあがり、
  ガイドのつもりで 右ひだり。

 ああ、ひどい、三人娘、情がない!
  ぽかぽか眠くて しかたない。
 なのに お話せがむとは!
  羽毛を動かす 息もない。
 だけどこちらは ひとりきり、
  三人相手じゃ かなわない。”

冒頭の韻を踏んだ、楽しい詩の一節です。

「不思議の国のアリス」ってこんなに面白いお話だったかしら?
昔福音館の本で読んだ印象は結構陰気に感じだったのですが。
訳者の河合氏は気鋭のシェイクスピア研究者であられるそうです。
お話の楽しい子供向けのエッセンスを満載にした、
ユーモア、ナンセンス、韻を盛り込んだ冒険譚がリアルに表れています。

アリスがどんなにナンセンスな状況に置かれても、
堂々としてる様はなんとも頼もしい。

登場人物たちのバリエーション豊かなユニークさも傑作です。
ヤマネやトカゲなどの動物たちは割とまともで、追いやられ方には哀愁を誘います。
ドードー鳥や、グリフィンなどもう存在しない動物や、空想の動物たちも大活躍。
王様、女王様、侯爵夫人のナンセンスさは人間の勝手さが見事に露呈されています。

ところどころ出てくる詩や歌もとんちんかんですっかり可笑しい。

やっぱりお気に入りは昔と変わらずチェシャーネコ。
にやにや笑いながら消えていくってシュールでナンセンスで人を馬鹿にしていて、
ほんとに気分がいい。

この文庫には、ちゃんと歌詞に楽譜もついていて、
存分に楽しめるようになっています。
構えずなんにも考えずに読んで楽しい一冊でした。

2011年9月23日金曜日

訪問

祭日の今日、知人のお宅をお訪ねしました。
その方が新しい住まいに居を構えられたのです。

喧噪を少しはずれた所に、
その明るいお住まいがあり、
とっても住み心地の良さそうなお宅でした。

あまりの気持ちの良さにうっとり。
う~ん将来自分の持家が実現するとしたら、
あのように自分らしく、気持ちよく住める家がいいなぁ。

おしゃべりもはずみ、
マッコリも頂戴して、日が暮れるにつれ、ますますいい気分。

大変お邪魔いたしました。
ありがとうございました。

電車の中では初心に帰って「不思議の国のアリス」を読んでいました。
こんな話だったかな?
子供の時には見落としていた部分を面白可笑しく読んでいます。

2011年9月21日水曜日

台風再来

台風15号が日本列島を縦断中。
現在栃木県だそうです。
東日本、東北の人々はご苦労が続きます。
新幹線に缶詰になった方も多かったようですが、
こればかりはどうしようもないと、思うのですが。

奈良県北部は夕方には風雨も収まって、
今は静かになっています。
各地の被害も大きいようです。

河川の近くにお住まいの方、
山際にお住まいの方、
十分にお気を付けください。

12号で被害が大きかった紀伊半島南部はどうなっているのでしょう。
職場の人の実家なども被害があったようでした。
台風の季節、気を緩めることができませんね。

さて、台風の最中読んでいたのは、
「氷の天使」 キャロル・オコンネル著 創元推理文庫
いきなり場面が変わってばかりで、
登場人物もバリエーションが豊かで、
混乱し、読みづらかったのでした。
主人公が、元ストリート・キッズ、今は警察に務めていて、
感情を表に全く出さないコンピューター・ハッキングが得意の美女と、
なかなかこだわりの設定です。
これにつられたわけではないのです。
いつも拝見しているブログで紹介されていて、
その方がこのシリーズを未邦訳まで追っかけて読んでいるということだったので、
興味を持ったのでした。
登場人物の個性豊かな部分は気に入ったけれど、
読みにくいというのは、やはり相性の問題でしょうか、
続いて読むことはないと思います。

2冊続いてミステリを読んで、飛ばし気分でしたが、
次は落ち着いて読めるものにしようかと考えています。

2011年9月19日月曜日

生駒のとあるJazzBar

先日生駒の町中にある小さなJazzBarにお邪魔しました。
ランチ時で、客は連れて行ってくれたM氏と二人だけ。
お店には生駒出身のJazz歌手の吉本嬢のCDがかかっていました。
きれいな歌声が爽やかな感じを聴いていると、
久しぶりのJazzにむずむずしてきまして、
つい生意気にも“Jazzというと、マイルスに帰ってきます”などと
のたまってしまいました。

マスターは嬉しそうに乗ってくださって、
“じゃあ、ベタですが、これにしましょう!”と、
「Round About Midnight」のLPを掲げ、
早速、ターンテーブルに掛けてくださいました。

すっごくいい音が流れるスピーカーの間の特等席まで用意されて、
ゆったりとあの心に染み入る音色を聴かせてもらいます。
やっぱり、いいなぁ。

昼時からまったりといい気分をさせていただいたのでした。
ありがとうございました。

2011年9月18日日曜日

「特捜部Q 檻の中の女」

「特捜部Q 檻の中の女」 ユッシ・エーズラ・オールスン著
 吉田奈保子訳 ハヤカワ・ポケット・ミステリ1848

久々のミステリ、よかった、面白かった。
本当にあったとしたら、大変な話だけど。

2007年デンマーク、コペンハーゲン警察に、
かくかく云々の事情で新設された“特捜部Q”。
そこに主人公カール・マーク警部補が配属されます。
このカールがとても味のある中年のおっさんです。
でも、実はとてもつらい経験をしたばかりで、
精神的にはきついはず。
にもかかわらず、未解決の重大事件に挑みます。
部下は謎のシリア人のアサド・・・この設定がまた可笑しいのです。

実生活と仕事の現実の厳しさと、
そこはかと人間味のあるユニークさとが相まって、
カールの仕事は少しずつ展開を見せてゆきます。

並行して、もう一人の重要人物のスリリングな状況が語られていて、
筋の運びもキリリと締り、なかなか読ませてくれました。

何気なく選んだ本だったのですが、
とってもしっくりとはまってくれました。
おかげで寝不足気味です。
警察小説がお好きな方には是非お勧めいたします。

2011年9月14日水曜日

左手イタタ

左手の腱鞘炎のため、今日は更新をお休みさせていただきます。

この3日間たいして読書も進んでいないこともあるし、
目新しいこともありません。

ここしばらく気になるプロ野球セ・リーグの順位争いの行方を
追ってから休むことにします。
(イチローの記録も気になっています。がんばれ!)

2011年9月11日日曜日

日本人がフランス人化すると・・・

FRENCH BLOOM NET-INFO*BASEの記事から
どれくらいフランス人化しているかチェックしてみましょう。
好むと好まざるにかかわらず・・・です。

週刊フランス情報 22 - 28 AOUT 後編

日本人がフランス人化すると、こうなる!9パターン

1.レストランでは必ずテラス席に座る。
    ⇒oui,それは喫煙のため。

2.友達や知り合いに会った時に、ビズ(bise)をしないと、何かさみしい。
    ⇒non,遠慮します。

3.8時に帰宅!=遅すぎる。
    ⇒oui,仕事はさっさと済ませようぜ。

4.パートナーとはいつまでも男と女の関係でいたい。
    ⇒oui,もちろんです。

5.スナック菓子によくある「チーズ味」は、何チーズなのか?が気になる。
    ⇒non,スナック菓子には期待していません。

6.日本にいた時より、他人がどう思うか?を気にしなくなる。
    ⇒non,そうかフランスに滞在している人向けなんだ。

7.ゴミの分別の仕方がよくわからない。
    ⇒non,分けます。

8.ヒールの高い靴やサンダルを履くのが億劫になる。
    ⇒oui、でも時によってはヒールが履きたくなります。

9.人の話を聞いていると、何だか反論したくなる。
    ⇒oui,“ああ、そうなの~”と素直に対応できないのです。
     すぐ自己主張してしまう、できの悪い人間です。

日本に居ながらも少しずつフランス人化しているようです。
日本人は個人の確立が目立つと敬遠されることが多いので、
外国の方の意見にはいつも驚かされます。
フランスではリセで哲学の授業もされており、
深く考え、整理し、自分の思考を構築する習慣を
身に着けているようですね。
皆様はいかがですか?

晩夏の読書は

夏の終わりの読書は吉田秋生一辺倒。

「桜の園」 女子高校生の日々を垣間見ます。
「河より長くゆるやかに」 男子高校生の普通ではない日々。
「夢みる頃をすぎても」 20数年前の大学生はこんなふうでした。
「カリフォルニア物語」4巻 カリフォルニアからN・Yへやってきたヒースの物語。

どれもとってもてらいのない、真実をついた、面白くも、心に残る作品ばかり。
こんな歳になってから昔を振り返って読むのも、なかなか楽しいものです。
もうしばらくしたら「夜叉」に入りたいと思っています。

他には、

「巴里の空の下、オムレツのにおいは流れる」 石井好子著
読むのは2回目だけど、とにかく美味しそうなものばかりで、おなかがすいてきます。
1963年の出版された本なので、今になってはそう不思議ではない物もありますが、
とにかくきっぷのよいお人柄が滲み出た爽快なエッセイです。

「灯台守の話」 ジャネット・ウィンターソン著 岸本佐知子訳 白水uブックス
現代小説って凝っていて読むのが難しい。そこが面白かったりしますが。
主人公シルバーに共感することもなかなか難しい。
純粋なのだけど、素直でない捻た感じも受けました。
この作品は若い人のほうがフィットするかもしれません。

「失われた時を求めて」第2巻
続いて集英社版の鈴木道彦さん訳で読み始めました。
ちょうど“スワンの恋”のところです。
ここだけ昔話を独立した視点で書かれています。
書かれていることはたいした内容ではないのだけれど、
そこから引き出されるプルーストの思考が面白い。
うねうねと長々と書かれる文章をふーんと唸りながら読んでいます。

気分としてはここへじっくり読める、でも読みやすい小説が
ほしいところです。
何にしようかな・・・悩む楽しみ、探す楽しみ、活字にまみれた晩夏です。

2011年9月7日水曜日

「追悼のしおり」その⑥

ユルスナールの「世界の迷路」Ⅰ「追悼のしおり」も最後のページになりました。

“覚書”にはこの本を書くために利用した文書、言い伝え、系図集や刊行物など
多くの資料を参照したということです。
作家であったオクターヴ・ピルメについてはブリュッセル国立図書館に書簡等が
残されているようですし、
ピルメについての論文「オクターヴ・ピルメ新論」も多くの情報を与えてくれたようです。
また個人的に協力された人たちも多く名を挙げられています。
目を通していると、名家でなければ残されてはいなかったであろう資料の豊富さに、
まず驚かされます。
そしてそれらのバラバラであった情報を一つのまとまりに結びつけたユルスナールの
努力に情熱を感じるのでありました。

そうやって集められた資料の元に書かれたこの一冊について、
小倉孝誠氏による“あとがき”に多面的に書かれた本であることが説明されています。
ここではユルスナールの主体を押し出さない作家としての在り方や、
この本の意義、示すところなどが語られており、
単なる回想録を超えた年代記であることが解説されています。

「世界の迷路」と名付けられているからして、年代記として読んでいいのだろうと
考えて読み進んできましたが、ユルスナールのことですから、そう簡単に読み下すことは
させてくれません。多くの登場人物が現れていますし、時間も流れていますから、
一つ一つの章を噛み砕いて、示唆するところを知るまでには一読では済みません。
簡単に述べられる感想を言わせてくれない遺産を残して去っていったユルスナール。
まだまだ道は続くのでありました。

2011年9月4日日曜日

「記憶の山荘」

「記憶の山荘」 トニー・ジャット著 森夏樹訳 みすず書房

1948年にロンドンに生まれたジャットは、
現代史の研究者として、主にアメリカの大学で教壇に立ち、
2009年に筋委縮性側索硬化症を発症し、
2010年に亡くなりました。

難病を発症してからも活動を行っていましたが、
その中で本書は口述筆記によって著された回想録です。

幼い頃にスイスの山荘を訪れたときを思い出し、
山荘の建屋や内装、家具、色々な部屋の数々をなぞらえて、
自分の記憶を空間的に並べるという手法をとっています。

と冒頭の章にあるのですが、
3次元感覚に乏しい読者は、平坦に並べられた章をなぞっていくことしか
できませんでした。
この「記憶の山荘」という章に執筆後の筆者の考えがほぼ述べられているかと
思われるので、何回か目を通してみました。
ちょっと難しい。

本文には、幼い頃からの記憶に沿って、
各章にテーマが与えられて、当時のことが振り返られています。
イギリスで過ごした幼い頃のこと、
大学生になってから仕事に従事するまで、
アメリカに移ってからのこと、
ユダヤ人であることについてなど、
筆者が関わって、山荘の引き出しに直しておくべき事柄が、
述べられています。

歴史家の回想録なのだと簡単に手をだしてしまいましたが、
人生とは簡単にまとまったものではないことに、
改めて、反省しました。

ジャットという歴史家がどういう人であるか、
この本を読めばよくわかるわけですが、
歴史家としての姿勢を表している文章があります。

“私の職業がどれほど超倫理的な要求を突き付けてきても、
 私はつねに「理性の人」だった。「歴史」に関する
 あらゆるクリシェの中で、私がもっとも引かれたのは、
 われわれは実例を挙げながら教える哲学者に他ならない
 という定言だ。これは真実だといまも思う。そして
 私はいまもなお、自分が明らかに遠回りをしながら、
 それを行なっていることに気がついている。”

こういった姿勢こそ良心があることだと思います。
できることならば、代表作の「ヨーロッパ戦後史」や、
没後に発表された「荒廃する世界のなかで」を読めればと
いう気持ちはありますが、やはり歯がたちません。
情けないやら、悲しいやらというところです。

2011年9月3日土曜日

のろのろ台風12号

強い勢力の台風12号がゆっくりゆっくり北上しています。
奈良県北部は今頃になって風雨が強くなってきました。
のろくさいので被害の範囲も広く、箇所も多いようです。
季節柄とはいえ、早く過ぎ去ってほしいものです。
そして普段の普通の生活ができるように。

当方のブログはこのようにちびちびと本の感想を述べているに過ぎない
ささやかなものですが、
幸いなことに、思っているよりも多くの方にご訪問いただいています。
いつもありがとうございます。

本の感想も、未読の人の楽しみを奪わないように、
なるべく本論をはずし、内容が伝わりすぎないように心がけています。
本によっては、内容を紹介することで関心を持っていただけるようにしていますが、
それでも読書は読み手によって変化しますので、
あまり主観を押し付けないでいられたらと思っています。
それと好ましい本だけに絞るようにしています。
いまいちの本をまな板の上に乗せても面白くはないですよね。
書評とは違った一読者の感想文、
今後もこの路線で行きたいと思いますので、
よろしくお願いいたします。