2018年1月31日水曜日

「藤田嗣治 本のしごと 文字を装う絵の世界」展

先週のことですが、
西宮市大谷記念美術館に足を伸ばしてきました。
現在開催しているのは、
「没後50年 藤田嗣治 本のしごと 文字を装う絵の世界」展です。


藤田と出会ったのはまだ学生の時分で、
エコール・ド・パリに関心を持った頃のことでした。
実際にはどんな絵なのか想像もつかず、
「ユキの回想」などを読んだ記憶があります。
すぐ後、京都の関西日仏学館で「ノルマンディーの春」が見つかり、
それを見に出かけたのが、初めての鑑賞となりました。
少しずつ、藤田の日本での評価についてもわかるようになり、
作品にも触れる機会が増え、
書物としては、清岡卓行さんの「マロニエの花が言った」を読むことで、
自分の中では終着点に落ち着いていました。


実は個人的に、好きな画ではありません。
それよりも、藤田という人間の仕事ぶりに興味が湧くのです。
かなりの仕事量の上、器用さを活かした身の回りの品の作成、
カトリックに帰依するまでは、日本人であることを意識していた様子、
写真で観られる強いまなざし、いったいこの人はどういう人?
と心のどこかにひっかかってくるのです。


今回は、本に関係した絵の展示ということで、
面白そうな企画に惹かれ、出かけてきました。


1920年代からの本の装丁、挿画の数々、
エッチングもあり、戦中の絵画も収め、
日本の雑誌の表紙、新聞連載小説の挿絵、
戦後親しい人へ書き続けたイラスト満載の手紙、
分身のように可愛がっていた猫たちの絵もいくつか、
日本の若手画家への支援の様子など、
通常の絵画展では盛り込まれずに終わってしまいそうな仕事が
たくさん、たくさん展示されていました。


そうそう、こういうところが観たかったんです、とばかりに、
ゆっくりゆっくり眺めまわしておりました。


本などは数十年を超すものばかりですから、
もちろん触れることはできませんが、
めくってみたくて仕方がありませんでした。


これは、本のしごと、というより、
藤田のサイドワークの一面の展示会という様子です。
もうすぐ大回顧展が東京、京都で催されるとのことです。
ぜひ、楽しみに参りましょう。


この様子だと、まだ藤田からは卒業できそうにありません。



2018年1月28日日曜日

太った、痩せた、とスルピリドの話

このブログにおいて、
もう少し詳しく病気の話を書くことで、
元気づけられる人達がいますよ、と
お医者さんからアドバイスされていることもあるので、
私のケースを少しずつ開示してまいります。


発症して21年経ちますが、
この間に私はなんと17キロも太ったのです。
長い間、お腹がすくからちょっと一口食べる、
そのときには、好きなものを食べないとイライラに陥るので、
好きなパンを食べる、ということを続けてきました。
時間はたいてい夕方で、パンを一つ。
これが積もり積もって17キロ。


ちなみに毎食の量はおかわりなどもせず、普通の量だと思います。
夜食は食べませんでした。
ただ、無性にお腹がすくことが、疲れと関係あるのかと思っていました。


これは、実は、お薬の一つドグマチール(スルピリド)を
服用しているからなのでした。


ドグマチールは鬱の薬として使用されますが、
胃薬としても使われます。
胃薬なので、食欲増進の効果があります。
これが原因なのです。


私はドグマチールとの相性が良く、
中心的なお薬として服用しています。
私にとってはお薬は絶対的なものなので、
効果の様子を見ながらも、否定的な発想はありません。


このドグマチールが減ったのは、去年の夏ごろだったでしょうか。
一日4錠を、重い感覚もあったこと、体調に変化がみられたことから、
1錠減らしたのです。
すると、お腹がすくことが減り、おやつを欲することが無くなり、
するりするりと6キロ痩せたのです。


周りの人は痩せたね~、どうしたの?と興味半分で言われますが、
自分としては人体実験をしているような感覚がありました。
痩せることより、ドグマチールを減らすことによる体調への影響全般が
気になるからです。


ところが、去年の11月頃に不調がはっきりと表れてきたので、
1日4錠に戻しました。
正直に言いまして、とても残念でした。
せっかく減ったのに、やっぱり私はまだ元気とは言えないんだ、と。


4錠に戻したところ、
しばらく忘れていた空腹感に襲われるようになりました。
胃薬効果が出てきたのです。
お腹が空っぽという感覚で、何か入れないと力が出ない気がします。
で、おやつを復活させたところ・・・みるみるうちに太ったのです。


このサイクルを体験してみて、
ドグマチールの副作用を実感することになりました。
これはお薬のせいでお腹がすくのだ、とはっきりわかったので、
少々太ることもあまり気にしないことにしました。
気持ちが落ち着けば、またドグマチールを減らすことができるでしょう。
その時には、また痩せることが可能なのですから。


まず大事なのは、お薬の効果を信じて服用し、
お医者さんの指導に沿って、生活することです。
もちろん合わないお薬もあります。
合わないお薬のお話は、また改めていたします。


というわけで、
私の場合はドグマチール1日4錠で太る!というお話でした。


※スルピルド⇒商品名:ドグマチール、アビリット、ミラドール等。
※私の場合は1錠50㎎です。

2018年1月27日土曜日

一年ぶりの同窓会

現在の会社に入った時に配属された部署、
そこはそれまで経験したことのない優しい人達が集まったところでした。
数年後、組織編成のためその部署にいた人達はみなあちらこちらに、
異動になりました。
私は今の部署に移ったのです。


そのかつて所属した部署で、多くの方々にお世話になりました。
その感謝の気持ちを込めて、同窓会を催しています。


今夜は、一年ぶりとなる同窓会でした。
10名ほどでしたが、どの方も個性豊かで、優しくて、きさくに話してくださり、
リラックスできましたし、皆さんも楽しげにされていたようですし、
嬉しく思った次第です。


自然と今の部署との比較もしてしまいます。
上司も違えば、もちろん仕事には大きな違いが出ますね。
以前が恵まれすぎていたのです。
今の方が一般的な職場だと思います。
そして、その現状に根を上げている自分は甘ったれだな、とも思いました。
理屈は言えても、タフに仕事できず、クォリティもたいしたことのない仕事しか
できません。これでは、私の気持ちは言い訳でしかないでしょう。
しかしながら、今自分が考えていることを撤回するつもりはありません。
私にはできることの限界があり、体力にも限界がある。
そして事実、現在の部署としての問題もある。
肝心なのは、どうやってそれを乗り越えていくか、でしょう。


現在では距離を置いた方々との会話から、
今の自分を眺めることができたことも、
この同窓会のおかげです。


参加してくださった方々に、感謝するばかりです。
今夜も、ありがとうございました。

2018年1月11日木曜日

新聞を読みたいのですが

去年の末、とうとう父親が新聞購読を止めるという暴挙に出ました。
前々から、日経新聞の論調に不満があるとは聞いていましたが、
朝日も毎日にも不満だ、ということで、
TVもあるし、ネットでニュースも読めるし、などと強気が勝り、
とうとうそういうことになってしまいました。


TVを観ない私としては、ネットのニュースだけでは物足りませんし、
紙媒体の新聞の良さを充分に享受してきましたから、
焦ってしまいました。


読書欄が掲載される土曜日、日曜日は購入することになりましたが、
毎日何か忘れ物をしている気分です。


活字が好きな分、欲求不満なのでしょうか。


慣れてくるのか、
そのうち、根を上げるか、さて・・・。

2018年1月4日木曜日

2018.1.4

今日で一週間のお正月休みが終わりました。
一週間ものお休みはなかなか取れませんね。


大晦日から始まった宴会に続いて、
お正月はお膳の用意やら、片付けやらで忙しく、
本来は休みのはずなんだけどな、と。
飲むことも、食べることも大好きな人間が集まっているので、
始終、お酒やら、お茶やら、珈琲やら、紅茶やら、と
飲み物をは始めとする食卓関係と、
和食器ばかりなので、食洗機にもかけられない洗い物が。


三が日を終えて、ほっとしまして、
今日は本格的に自分の用事ができました。


元旦から始めたPCの入れ替えもほぼ終わっているのですが、
お気に入りが移行できていません。
調べてみても、Win10への移行はわからずじまい。
職場ではうまくいったので、
システム担当の人に尋ねてみようかと思っています。
それと、画面がまったく違うので、とまどっています。
で、慣れたWin7を使っております。


自分の部屋で好きな音楽を聴きながら、
用事に没頭していると、ようやくリラックスした気分になってきまして、
お正月というイベントを経て、
自分の時間を取り戻して、初めてこういう状態になったんだな、と
実感できました。
それには一週間かかった、ということになります。
一週間くらいはないとリラックスできない、ということかもしれません。
もちろん人にもよるでしょうが。
バカンスというシステムがうらやましいと思ったのでありました。


結局、読書はできずに終わってしまいました。
また、時間のあるときに、のんびりと読みましょう。

「スパイたちの遺産」

「スパイたちの遺産」 ジョン・ル・カレ著 加賀山卓朗訳 早川書房


2017年に出版されたばかりの本を、
もう翻訳で読める。
それだけ、注目されている小説なのです。
ジョン・ル・カレの出世作「寒い国からやってきたスパイ」と、
スマイリー3部作の続編にあたります。


スマイリーの片腕として能力を発揮したギラム。
彼ももう引退して、故郷フランスで静かに過ごしています。
そこへ諜報部から呼び出しが。
かつての事件にかかわった人物の遺族が動いているということです。
隠された資料の提供を求められたギラム。
ギラムはスパイとして活動していた持ち味の能力を蘇らせつつ、
眼の前におかれた報告書をもとに、
過去に遡っていきます。
でも、真実を知り、自分に指示を与えていたスマイリーは、
いったいどこにいるのでしょうか。
彼こそが鍵であるのに。


「寒い国・・・」「ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ」を
読んでおられる方は堪能されることでしょう。
その背景がギラムによって語られます。
それまで奥にいたギラムの活躍が、
ギラムという人間の持ち味が活かされています。


ずいぶん過去の作品を織り交ぜ、
東西が分裂していた時代に戻って、
ここまで読み込ませるドラマを書く、それはこの作家の見事な腕。


登場人物の描き方がとても好きなこともありますし、
ドラマティックなところも好きですし、
細やかな心の動きの落とし込み方も好きですし、
あらためて感動しつつ読みました。
先日には、作家の回想録も出ましたから、
そちらも覗いてみたくなってきました。


スパイ・スリラー作家の最高峰、そういっても過言ではないでしょう。

2018年1月2日火曜日

「魔法の夜」

「魔法の夜」 スティーヴン・ミルハウザー著 柴田元幸訳 白水社


真夏の夜には、月が魔法をかけてくれる。
魔法をかけられた人たちの、エピソードが連なる中編小説です。


女の子、中年の男性、酔いどれ、マネキン、人形たち、
男の子、恋する女性、エトセトラ。
みんな月に酔わされたように、ふらりふらりと動き出す。


月に酔わない人もいるのです。


それぞれのエピソードが交錯するかと思えば、
普通に閉じられていくエピソードもあり、
そうそう変わっているわけでもありません。
このような題材の小説はいくつもあるでしょう。


ミルハウザーは月に酔わされた人々に夢を見せてくれます。
つかの間の夢。
かと思えば、現実的な展開もあったり、と、
同じパターンは一つとしてありません。
まったく退屈する暇などないのです。


ミルハウザーに求めるファンタジーと現実の狭間を、
月夜に眺める私たち。


この世界は誰にもまねのできるものではないでしょう。
ミルハウザーという人物はいったいどんな人なのでしょう。
飛躍する想像力、永遠に広がっていく夢、夢想、
それらを言葉に置き換えて、
現実に世界に登場させるなんて。


この小説の中身をお伝えする力は私にはありません。
一度、手に取ってみてください。
この世界は、自分の眼に見えるものだけではないかもしれません。

2018年1月1日月曜日

あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。
本年もお付き合いのほど、
よろしくお願いいたします。
変わらず、たいした内容ではありませんが、
このブログでは、
自分の素直な気持ちを表していきたいと思っております。
今年は少しでも前進らしきところを示して、
読み応えのある内容になることを、
自分にも期待しています。


今は午前2時30分。
大晦日の家族での宴会が盛り上がりすぎまして、
年越しそばをいただいて、
片付けをしていたら、こんな時間になってしまいました。


大晦日は、自分の用事ができるはず!だったのですが、
家の中のリズムがいつもと違い、
あれこれと呼ばれたりして、落ち着かず、
まともに音楽も聴けずじまい。
読みかけの「茶色の服の男」も進みませんでした。
冒頭を読みかけたところで感じたのは、
新訳だとのことですが、
とても大衆的な雰囲気が出ています。
親しみやすいのかもしれませんが、
個人的な好みは古風な感じなので、
少々違和感が。
もともとは大衆向けミステリーなのですから、
不思議はありませんが。


先日、ジュンク堂のPR冊子に目を通していて、
とても良さそうな本を見つけました。
エドウィージ・ダンティカ「ほどける」作品社。
密度の高い美しい文章、とあります。
ぜひ店頭で見てみましょう。


明日は寝正月となりそうですが、
おせちとお雑煮はよばれないといけませんね。