2010年8月20日金曜日

カニグズバーグとの出会いは

「800番への旅」の作者カニグズバーグは、
Elaine Lobl Konigsburg 1930年生まれの
アメリカの児童文学の作家です。

1967年に「クローディアの秘密」でデビューし、
数々の作品を発表しており、
邦訳も主に岩波少年文庫からいくつか出ています。

その岩波少年文庫から出た「クローディアの秘密」を
読んだのは小学生のことでした。
ちょっと背伸びした高学年の女の子のお話で、
そのくらいの年齢の子なら確かに考えそうなアイデアから
お話は始まります。
考えてみても想像で終わってしまうのが常ですが、
クローディアは実行してしまうところが、たくましい。
そこから思いがけない事実と遭遇し、
クローディアは一気に大人の世界へ入り込むのでした。

現代を舞台にしていることもあって、
写実的な描写と相まって児童文学にはあまりないリアル感があり、
読んだ当時は戸惑いました。
それまではファンタジックな物語を好んでいたものですから。

数十年経って「800番への旅」を読んでみると、
このカニグズバーグの手法が魔法のように活かされていることに
気が付きました。
ありえなさそうな話だけど、
実際にあってもおかしくはない。
すっかり信じきって読むことができるのです。
物語(小説)の醍醐味だなぁと思います。

すっかり遠くなってしまっていた子供の頃の心理を引っ張り出して、
懐かしいというより、複雑な気分です。
枝葉を削って少しはすっきりとしていたらいいのに、
そんな大人には到底なりっこ無いとよくわかったからです。

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