アントニオ・タブッキの「島とクジラと女をめぐる断片」が
河出文庫に入りました。
この本は単行本で読んでみたのですが、
これまで読んだことのあるタブッキの小説と違いがあるような感じで、
あまりしっくりこなかったのです。
タブッキの作品で好きなのは、
「インド夜想曲」
「遠い水平線」
「夢のなかの夢」。
どちらかというと幻想的な作風のものが好ましく感じていましたが、
このクジラは、構成も、内容も、なぜか親しめなくて。
今回の文庫版には堀江敏幸さんが解説を寄せておられることもあり、
再読してみることにしました。
内容がよく理解できない私には、
須賀さんによる訳者あとがきと解説をきちんと読んで、
本の趣旨を理解した上で読んだ方がよさそうです。
と、本をぱらりとしていると、一枚の広告が落ちてきました。
「須賀敦子の本棚」全9巻が6月から刊行されるということです。
第一回は、ダンテ「神曲・地獄篇」。
須賀さんに師事された藤谷道夫さんの手によるものです。
第二回は、キャザー「大司教に死来る」。
これは須賀さんの卒業論文。
監修は池澤夏樹さん。
ついていけるか否かは別として、
まずは手にとってみたいですし、
目を通す必要があるでしょう。
とはいえ、
仕事に追われ、体調不良にくらくらしている今の私に、
この本たちは値があるでしょうか。
須賀さんの本が自分にふさわしいか、
私自身、判断がつきません。
眼と心を洗うために、
与えられたものでしょうか。
そう考えると、
迷いに迷う今の私に大切なのは、
須賀さんのエッセイを再読すること、なのかも
と思ったのでした。
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