2010年2月28日日曜日

ピラネージをめぐる本たち

しばらくお休みをしていましたが、
久々にユルスナール「空間の旅・時間の旅」から紐解いてみたいと思います。

ここに「ピラネージの黒い脳髄」という評論があります。
18世紀、ヴェネツィア出の版画家はローマにおいて、
《幻想の牢獄》《景観》《ローマ古代遺跡》など数多くの作品を残しているようです。
ユルスナールは《幻想の牢獄》を中心に他の作品と比較し、
《牢獄》には何がどのように描かれているのか、
ピラネージの思考に思いをめぐらせながら、
語っています。
ここで問題は、ピラネージの作品をよく知っている必要があるということです。
ピラネージの作品について、なんとなくしか覚えのない人間には、
このユルスナールの細かい分析には付いていくのが困難です。

ここに一冊の本を並べてみましょう。
須賀敦子さんの「ユルスナールの靴」です。
この本の「黒い廃墟」では、ユルスナールの評論とピラネージとの係りを、
自らの体験を踏まえて、読み、語りほぐしています。
須賀さんの滑らかな文章に、少しは助けられるような気がします。

しかしながら、ピラネージの作品をしっかり観ることをせずに、
ピラネージを語ることはできないのです。
やはり、ここはピラネージを、紙に印刷されたものを観る必要があります。
ネットでチェックしてもリアルさは半減してしまいます。
図書館へ行けば、大きな画集が観れるかもしれない、
夢に出てきそうなピラネージの作品を、
しっかり観てみようと計画中です。

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