2009年7月19日日曜日

「不滅」

「不滅」 ミラン・クンデラ著 菅野昭正訳 集英社文庫

初めて読もうとしたとき、わけがわからなくなってすぐに本を閉じた。
2度目に読みだしたとき、感激して虜のようになった。
3度目に読んだとき、冷静な気分で読了した。

それから、クンデラの作品に一通り目を通した後に
再度この本を広げてみて、
登場人物たちが遠くへ行ってしまったように感じている。
アニェスにはあんなに共感できたというのに、
物語としても面白く、興味深い人物形成といい、
意味深げな会話といい、挿話の挟み方といい、
リズム感もあり、リアルで、
ああ、この小説は私たちの人間世界を描いている、と痛感したというのに。


そういった感想に間違いはないと思うのだけれど、
どうやら今の自分が求めているのは、
このような現実的な小説ではないらしいのです。

とはいえ、クンデラの作品群、評論をこのままほっておくのも惜しく、
誰か、クンデラの魅力の謎を解き明かしてくれないものかと、
クンデラに関する評論を紐解いてみようかと思っているところです。

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